長編小説 4.意外な場所で 相変わらず双子たちの態度は変わらない。 けれど、少しわかったことがある。 彰は絶対に性的な行為を行わない。 亨の排泄を見て自慰をすることはあっても、決して亨自身に触れて来ないのだ。 それが真に対する遠慮なのか、単に亨には興味がないのか、それ以外の理由があるのかはわからないが。 だからこそ、二人きりの空間もあまり気詰まりではない。 真と二人きりだと、必ずといっていいほど性行為に及んで来る。 彼が満足するまで、亨はただ、されるがままに足を開くしかできなかった。 万一抵抗などしようものなら、どんな仕打ちをされるかわからない。 「ひ、う…ぅっ。あ…あぁぁ…っ」 意味を為さない、悲鳴のような喘ぎが亨の口からひっきりなしに漏れる。 がくがくと下肢を震わせ、勃ち上がった性器から透明に近い精液を吐き出した。 何度目になるかわからない絶頂は、もはや苦痛にしかならない。 それでも真は構わずに、亨に自身を突き立てた。 「ひ、ぃぃ…っ。や、ぁぁっ」 ぐっと最奥まで突かれ、亨は悲鳴を上げて逃げをうった。 それは意図したものではなく、無意識の行為だったが、真にその区別がつくはずもない。 「へえ…。まだ俺から逃げるつもりなんだ」 にやりとした真の笑みに、亨は背筋を震わせる。 そこにタイミングよく彰が帰宅して、双子が揃ってしまった。 真から説明を受けた彰の表情も、さきほどの真と同じものになった。 こういう時だけは、双子だということを嫌というほど認識してしまう。 「それはおしおき決行かな?」 「だろう?アキはそういうの、得意だよな」 「まあねー。でも俺が考えるのはスカトロだよ?いいの、まこっちゃん」 「何でもいいよ、俺は」 笑顔で会話する双子達が怖くて、亨は震えながら首を横に振るが、そんなことで聞き入れてくれる二人ではない。 逃げることもかなわず、亨は彰に腕をつかまれ、クローゼットに放り込まれた。 びっくりしている間にドアを閉められ、何かできっちりと閉ざされたらしい。 素っ裸のまま、がらんとしたクローゼットの中で呆然となった亨だが、しばらくすると腹がグルグルと唸り始める。 何度も中出しされたせいで下してしまったようだ。 亨は真っ青になり、慌ててクローゼットのドアを叩く。 「お願い、出して!」 亨の必死な声にも反応はなく、絶望的な気持ちになりながらもドアを叩く手を止められない。 「出ちゃう…ぅっ」 腹を抱えてドアを叩いていた亨は、あまりの辛さに涙さえ浮かべ、片手を背後に回した。 尻を押さえるだけでは心許なくて、指を尻穴にそっと入れる。 先ほどまで真に攻められていたせいで、すっかり綻んでいるソコはあっさりと指を飲み込んだ。 しかし、けいれんするようにひくついているソコは、指一本では物足りないようで、亨はすぐに二本目の指を差し込む。 それでも排泄欲はハンパなく高まり、亨は再びクローゼットのドアを叩いた。 今日は朝に自然排泄しているだけなので、もしかすると残便があるのかも知れない。 だからこそ余計に、腹を圧迫する痛みが強いのだろう。 そう思うと、亨の顔は蒼白になった。 薄暗くて狭い、こんな場所で排泄など、とてもではないができない。 そうは思うものの、あまりもちそうになかった。 ブブッ、と屁が漏れるたびに、尻穴がけいれんして、くわえ込んだ亨の指をぎゅっと締めつける。 そして、いつの間にか亨の性器は勃起していた。 ブリュッ! 何度目かの屁の後、濁った音がした後に、太腿をどろりとしたものが伝った。 ぎくりとした亨は必死で尻をすぼめ、指を更に奥へと押し込んだ。 何が溢れたのか、見るのも怖い。 けれど、一度決壊してしまったものは、もはやどうしようもない。 くわえ込んだ指の隙間から、ブリリッ、ブリュウッ、ブブッ、とくぐもった音を立てて、何かが吐き出される。 最初のうちは、真の吐き出した精液だったかも知れない。 だが、今はもう、それは明らかに亨の体内に溜め込まれていたものとなっていた。 軟らかくはあるが多少固形を保っているそれは、亨の指を押しのけるようにして外に這い出した。 臭気を伴い、ブリブリと音を立てて吐き出されるそれに、亨は知らず涙をこぼす。 こんなところで、なすすべもなく大便を漏らすなど、あまりのみっともなさに嗚咽が止まらない。 双子たちはこうなることを想定して、亨をクローゼットに閉じ込めたのだろう。 それがわかっていても、亨は堪え切れなかった自分が腹立たしかった。 更には、体内のものをすべて吐き出した瞬間、触れてもいない勃起した性器が弾けた。 あまりの節操のなさに、じわりと涙が浮かぶ。 双子達が待ち望んだ結果が訪れたというのに、クローゼットのドアは開かれる気配がなかった。 亨が漏らした大便の臭気がクローゼット内にこもって、気分が悪くなってくる。 「出して…。もう、気持ちわる…ぃ」 頭ががんがんと痛む。 もう、何が何だかわからなくなって、亨はドアに持たれて目を閉じた。 するとすぐに目の前が真っ暗になり、意識が深く沈みこんで行く。 双子たちがクローゼットのドアを開けた時、汚物の中にうずくまって、亨は意識を失っていた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |