[携帯モード] [URL送信]

長編小説
2-2.ゴミ箱に
力哉からの命令メールは、たいてい週末に来る。
その日も、昼前くらいにメールを受信して、休憩中におそるおそる開いてみると、待ち合わせ時間と場所が書かれてあった。

了解した旨を返信して、基樹ははあ、と盛大なため息をついた。
駄目だと思うのに、実際に力哉に会ってお漏らしのことを仄めかされると、それだけでどうでもよくなってしまう。
しまいには気持ちよく力哉の前で放尿してしまい、更には勃起までしてしまって、後からどっぷり後悔するのだ。

そう思うのに、力哉に会う前はたっぷりと水分を取ってしまう基樹だった。

「今日は、俺がいいって言うまでおしっこ禁止ね。後、場所は俺が指定するから」

そう言って、力哉はさっさと歩き出す。
前回と同じく、お互いの最寄り駅の中間にあたる場所だ。
以前は互いにこの辺りの地理を知らずにいたが、どうやら力哉の方は、あれから色々調べたらしい。

どこに行こうとしているのかはわからないが、その足取りは迷いがなかった。
その後について歩きながら、基樹はちらりと自分の股間へと視線を向けた。

今のところ、まだかすかな尿意を感じる程度だ。
余裕で我慢できる状態だが、果たしていつまでこれが続くのだろう。
さすがに、我慢できずに漏らしてしまうのだけは、避けたい。

放尿は好きだが、お漏らしが好きというわけではない基樹は、あまり我慢するのが好きではなかった。
とはいえ、力哉に逆らえば、何をされるかわかったものではない。

基樹の恥ずかしい写真はいくらでも持っているし、家や会社も知られている。
そう考えると、基樹は力哉に対して、あまり強く出る事はできなかった。

「あの、さ。漏らすのだけは、勘弁してくれないか?」

それでも一応、最低限の事は主張しておこうと、基樹はおそるおそる口を開いた。
すると、力哉は怪訝そうな顔で振り返る。

「当たり前だろ。俺はアンタがおしっこしてる姿を見るのは好きだけど、お漏らしだったら後始末大変だし、アンタのチンポ見えないし」

あっけらかんとした口調で言われた言葉に、基樹は頬が赤く染まってしまった。
小便を堪えている性器が、ピクリと反応して、下着を押し上げようとする。

気づいて、基樹は慌てて股間を押さえた。
それを、小便を我慢しているものと勘違いしたらしい。

「早いなあ。もうちょっと、我慢を覚えた方がいいんじゃない?」

唇を尖らせて文句を言いながらも、力哉は優しく基樹の腕をつかみ、歩き出す。
どうやら小便をさせてくれるつもりらしい。
そう思って、基樹は大人しく従った。

「はい、ここ。今日のアンタの便所だよ」

力哉がそう言って指し示したのは、自動販売機の横に置かれている、空き缶を捨てるためのゴミ箱。

「この穴、ちょうどよくねぇ?まさにおしっこ入れるための穴っぽいよな!」

名案とばかりに力哉はケラケラと大爆笑しているが、基樹には笑えなかった。
少し路地に入ったところとはいえ、すぐそばには大通りがある。
そんな、いつ誰に見られるかわからないような場所で、大胆にも小便など、できそうもない。

引きつった顔で、力哉の顔とゴミ箱を交互に見やる基樹を見て、力哉は業を煮やしたらしい。
基樹の背を押し、ゴミ箱の前へと押し出した。

「こ、こんな、誰に見られるかわからないのに…!」
「だから、人がいない間にさっさとやれって。つーか、見られたかったんだろ、アンタ」

力哉の指摘に基樹は顔を赤らめて、肩を竦めた。
それから辺りを見回して、誰もいないのを確認すると、急いでズボンの前をくつろげる。

「ははっ。やっぱりな。勃起してんじゃん」

取り出した基樹の性器を見て、力哉が楽しそうに笑う。
その声にますます恥ずかしくなりながらも、基樹は腹に込めていた力を抜いた。

ジョボジョボジョボジョボ……、

どうやらゴミ箱の中には、あまり空き缶が入っていないらしい。
プラスチックに小便が当たる音がこもって聞こえ、基樹はますます恥ずかしくなった。

性器から放物線を描いて吐き出される小便が、空き缶入れにキレイに吸い込まれて行く。
それをぼんやり眺めていると、パシャリといつものように写メを撮られた。

尻ポケットに入れている携帯が震え、すぐに受信を知らせる。
どうやら今日は、速攻で転送して来たらしい。

「なあ、アンタ、そのおっ勃ったチンポ、どうすんの?」
「どうって…別に」

小便をし終えた性器は、すっかり形を変えてしまっている。
それをむりやりズボンの中へ戻そうとして、力哉に手首をつかまれた。

そのまま更に路地を進んで行った力哉は、寂れた公園へ入って行く。

「ここで、オナニーして見せてよ。ムービーで撮ってやるから」
「冗談……っ」
「ほら、早く!」

携帯を構えられ、叱りつけるように言われ、基樹は渋々性器に指を絡ませた。

小便を吐き出したばかりの性器を晒して、オナニーをしている。
そう思うと興奮して、基樹は夢中になって性器を扱き始め、あっという間に昇りつめた。

「ほんと、マジでイイ顔」

力哉は舌なめずりしながら呟き、すぐにまた、基樹の携帯に転送して来る。
それを見ることなく、基樹は力哉と別れ、家路に着いた。

自分の部屋で一人きりになってから、ようやくそれを見た基樹は、興奮のあまり再びオナニーをしてしまった。

その直後、タイミングよく力哉からメールが入る。

『今度はもっと気持ちよくおしっこさせてやるよ』

そのメールを読んだ基樹は、更にまた、性器を握り込んだ。



[*前へ][次へ#]

14/21ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!