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長編小説
4.シャワーをあびながら
同僚の村瀬いわく、残業で帰りが遅くなった時は、近くの銭湯で風呂に入ってから帰るそうだ。
確かに、家に帰ってからわざわざ湯を張るのも面倒だし、一人暮らしにとっては、その方が楽かも知れない。

それに、基樹はそこで更なる楽しみ方ができるのだ。
ならばいっそ、彼の言う通りに、銭湯に言ってみるべきだろう。

そう決めて、基樹は残業で帰りが遅くなったある日、村瀬が言う銭湯へと向かった。
幸い彼は一緒に残業していなかったし、風呂に入っている人間の中に、知り合いらしき顔はない。

少し遅い時間のせいか、人がまばらにしかいないのが少し残念だが、それでも、十分楽しめそうだ。

基樹は無意識に下腹部を撫で、体を洗ってから湯船に浸かった。
少し熱いくらいの湯が気持ちいい。
このままここでお漏らししてしまいそうになり、基樹は慌てて湯から上がった。

ずらりと並んでいるシャワーは、だいたい1つ2つの間を空けて使用しているらしい。
基樹は隅の方の、空いているシャワーへと向かった。

2つ間を空けて並んでいる50代位の男性は、鼻歌を歌いながら体を洗っている。
それを横目で見ながら、持参したシャンプーで頭を洗い、もう一度、周りを見回した。

すぐ近くには人はおらず、さきほどから全く人は増えていない。

基樹は少し足を広げてその上にタオルをかけ、股間が目に入らないようにしてから、シャンプーをすすぐためにシャワーを出した。

勢いよく流されて行く泡は、近くの排水溝へと向かっている。
それを見送りながら、基樹は我慢していた尿意を解放した。

シャワーの透明な水に混じって、下半身を隠しているタオルの下から、弧を描く黄ばんだ液体が見えている。
ジョボジョボという音も、シャワーでかき消されていて、近くの男性にまで届かない。

勢いよく小便を吐き出し、それをじっと見つめていた基樹は、いつの間にか笑顔を浮かべていた。

たまには銭湯へ来るのもいいものだ。
残業をしたら、これからはここで、小便をしよう。

そう決めて、基樹は全身にシャワーを浴び、もう一度湯船に浸かってから、銭湯を後にした。

さあ、次は一体どこで、どんな風にしてみようか。

プールの中で、というのも面白いかも知れない。


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