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短編小説
年越し(大スカ)
家の外/大便排泄/着衣おもらし/下痢/大学生

寒空の下で、真っ白い息を吐き出しながら、カンジはどうしてこんなことをしているのだろう、とぼんやり思う。
ついさきほどまでは、温かい家の中で家族団らんをしていたのだ。

最初に、除夜の鐘をつきに行くと両親が言い出し、じゃあカレシと初詣に行って来ると姉が便乗して、あっという間に家の中は無人になった。
一人寂しく過ごすのもなんだし、と思いながらコンビニへ行ったら、カップルとか友達同士のグループがいっぱいいて、一人きりのカンジは逃げるように飛び出した。

そして現在、公園のベンチで、コンビニで購入した肉まんを頬張りながら、缶コーヒーで両手を温めている。

もう一度、はあ、と白い息を吐き出して、自分のバカさ加減を呪った。
本当は今日、カンジも恋人と過ごす予定が入っていたのだ。
それなのに、つまらないことでケンカして、それっきり連絡も取っていない。

今も、目の前にある携帯を見つめたまま、電話をかけることができずにいた。

ずずっと音を立ててコーヒーを飲み干し、カンジは再びため息をつく。
こんな虚しい年越しは初めてだ。

今まではずっと、友達とワイワイ過ごして来た。
けれど、今年は恋人が出来て、その彼と過ごすのを楽しみにして、友達からの誘いはすべて断ったのに。
結局、変な意地を張って、一人で過ごすハメになっている。

うっかり涙が溢れて来て、カンジは慌てて服で拭った。
寒空の下、恋人を思って泣くなど、大学生にもなってみっともないし、何よりかなり恥ずかしいことだ。

必死に涙を堪え、早く家に帰ろうと、ベンチから立ち上がった、その時。

ギュルルルルッ、と腹が不吉な音を奏でた。

どうやらあまりの寒さに、腹を下してしまったらしい。
慌てて公園を振り返ったが、あいにく公衆トイレは設置されていないようだ。

近くのコンビニに行く事も考えたが、さっき見た大勢の人間がまだそこにいそうで、カンジは家路へと急いだ。
さして遠くない距離なので、大丈夫だろう。
そう思っていたのだが。

急激な腹痛は、あっという間に限界まで膨れ上がり、カンジはへっぴり腰で歩くハメとなる。
片手で腹を抱え、少し前屈みになり、足は小走りになっていた。

時折、空いている方の手で、ズボンの上から肛門を押さえながら、必死で家を目指すのだが、時折立ち止まらざるをえないため、なかなか家にたどり着けない。

通常ならすでに家のトイレで用を足しているくらいの時間なのに、と思えば思うほど焦って、けれど、早足になると肛門がひくついてしまう。

時折荒波のように襲い来る便意はかなり強烈で、何度も立ち止まり、必死でお尻を押さえた。
グルグルとひっきりなしに腹は唸り、プゥ〜ッ、ブボッ、と合間に臭気を伴いながら屁が漏れる。

さきほどまで恋人を想って涙ぐんでいたカンジは、便意を堪える辛さに、再び涙した。

大学生にもなって、こんなに便意を堪えるハメになるとは思わなかった。
尻を押さえながら歩いていると、再び便意が襲って来て、肛門が激しくけいれんした。
ヤバイ、と思って、慌てて立ち止まる。

ブリュウッ、

不吉な音がして、屁と一緒にドロッとしたものが下着の中に漏れ出した。
真っ青になり、カンジは慌てて歩き出す。

必死で括約筋を引き締めたので、それ以上漏れ出すことはなかったが、かなり危険な状態だ。
次に大きな波が襲って来たら、恐らくもう堪える事は無理だろう。

そう思って必死で歩を進め、ようやく自宅が見えて来た。
ここまでくれば一安心とばかりにほっとしながらも、油断することなく早足で歩く。
すると、近づく家の前に、人影があるのが見えた。

家族の誰かだろうか、と不審に思いながら歩いていると。

「カンジ!」

こちらに気づいたらしい人影は、嬉しそうな声でカンジを呼ぶ。
その声には、嫌というほど聞き覚えがあった。

さきほどまで会いたくて仕方のなかった恋人の声。
けれど、今、こんな状態では、絶対に会いたくなかった。

嬉しそうにこちらへ駆け寄って来る恋人は、スーツ姿だ。
もしかすると、この年末ギリギリまで仕事に追われていたのかも知れない。

クリスマスからこちら、仕事を理由にどれだけ約束を反故にされたことか。
それに腹を立て、今日まで一切連絡も取らずにいたのだが。

まさか家に押しかけて来るとは思わなかった。
それは素直に嬉しいと思うが。

恋人が、もう目の前まで迫って来ている。
両手を広げ、カンジを抱きしめようとしている。
それを目の当たりにしながら、しかし、カンジは目の前が真っ暗になった。

ブボォッ、ブリブリブリブリブリッ、ブビビッ、ブリュリュリュリュルルッ

けたたましい破裂音と共に、カンジの下着の中には、ドロッとした軟便が一気に溢れ返った。
下着を濡らしながら押し下げ、股の間にできた隙間から、軟便が足を伝って地面に滴り落ちる。

その量は、カンジ自身もびっくりするくらい大量で、下着はパンパンに膨らみ、足元にボタボタと落ちた大便が小山を作っている。

そんなカンジの姿を、恋人は両手を広げた格好のまま、呆然と見つめていた。

ブリブリと排泄する音は丸聞こえだろうし、便臭はあたり一面に漂っている。
恋人の目の前で、しかも、大便をお漏らししているのだ。
それがどれだけみっともないことか、カンジはよくわかっている。

大学生にもなって、家の前で、みっともなく大便を漏らすような人間を、好きでいてくれるはずがない。

そう思うと、カンジの目からは次から次へと涙が流れ落ち、次第にしゃくり上げ始める。
それでも恋人は、呆然としたまま、身動きできずにいるようだった。

どれだけの時間が過ぎたのだろう。
とうにカンジの排泄は終わっていて、下着の中の大便も温もりがなくなり、気持ち悪さだけが残っている。
家に入って始末をしたいが、目の前に恋人がいるせいでどうにもできない。

すると、その恋人が、ふいに動いた。
しかも、目の前にあるみっともないカンジの体を、ぎゅっと抱きしめたのだ。

「な、……何、してんの?」
「慰めてんだよ。こんなになるまで我慢してたのに、俺が邪魔しちゃったんだよな?ごめんな」
「ば…っ、バカじゃない?」

優しい言葉に言い返してみたけど、カンジは結局恋人に縋りついて泣いてしまった。
その間、恋人は優しく背を撫で、髪をかき上げ、あらわになった頬へとキスをしてくれる。

そして、大便に汚れたカンジの体を抱えて、風呂場まで連れて行ってくれた。
恋人の眼前で、大便に汚れた下半身を晒されて、再び涙したが、そんな事には構わず丁寧に洗ってくれる。

時間をかけ、ようやく綺麗な体になったら、そのまま、その場でセックスまでしてしまった。

しかも、その後ベッドに行って2ラウンド目まで行い、気がついた時には、いつの間にやら年が明けている。

顔を見合わせて笑い、ようやく二人は「おめでとう、今年もよろしく」と挨拶を交わした。




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あきゅろす。
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