チョコミント。
3日目
ね、ねむい。
授業中にも関わらず眠さで、うとうと崩れ落ちないように体勢の維持で必死だった。
昨日に引き続き、寝不足だ。
今日も寝不足だし、しかも全然、授業が頭に入らないんですけど!!
眠いし、それに昨晩の事を思い出しまい、さっきまでやっていた古文の授業が全く覚えてない。
今度、古文のテストあるのに、本当にどうしてくれよう・・・
「どーした弥生?今日も朝から元気ないじゃん?何か悩みあるなら、お姉さんが相談に乗っちゃうゾ☆」
あはは、お姉さんって同じ歳だろ。と思いつつ、『ありがとう』って返す。
誰にも言えない、ましてや美香に絶ーっ対に言えない!
寝不足なのも、授業に集中出来ないのも、どれもこれも全部、神田のせい!!
昨日、神田があんなことするから!!
私、初めてだったのに!!
いきなりディープキスなんて!!
しかも2回!2回も!!
もう、怒りを通り越して泣きたいぐらいだ。
一体どんなつもりであんなことを?
後ろの方の席に座り、またしてもクラスの女子に囲まれている神田を、ちらっと見た。
昨日、部屋を出る際に神田が言ってた
「そう。俺の気持ち。
分かんないなら考えて。奏の事なんかじゃなく、俺の事を。」の言葉の意味・・・
「ねえ!2人ともお昼食べよ♪ん?弥生さっきから口に指当ててどったの?」
いつの間にか、弥生の席の近くにお弁当を持つて来ていた可奈子に言われ、無意識に自分の指が唇に触れていたことに気付い。
無意識に触ってたなんて、ビックリした。
何か早く言わなきゃと思い、咄嗟に出たのが『い、いやー、唇ガサガサでマジでヤバイナーって思って』
って本当にガサガサだ。
ちょっと待って。
私こんな口で神田とキ、キスしたの?!
あーもう!!
本当色んな意味で泣きたいわー。
「あ、本当だ〜♪すごいガサガサじゃん(笑)リップ貸そうか?」
『あ、ありがとう!自分でもガサガサ過ぎてビックリした』
加代子が、ポーチからリップを取り出し貸してくれた。
「あ!このリップめっちゃいいよね!私も使ってるよ♪」
美香もポーチを出し「ほら!これ〜」とリップを見せてきた。
美香と可奈子とリップの話で盛り上がっていると、後ろの方が騒がしいことに気が付いた。
「ん?なになに?何やら後ろが騒がしいぞっ☆
お!昨日に、引き続き和樹クンすごーい人気ぷりですな♪さすが、我がクラスのアイドル☆」
相変わらず、神田にお弁当を作ってきて食べて貰おうとしている女子達なのだか。
しかし、様子が変だ。
何やら、悲鳴に近い声も聞こえるし・・・
嫌な予感しかしないのは何でだろう。
「和樹くん!?そのお弁当彼女に作って貰ったて本当なの?!」
「うそ?!嘘でしょ?」
女子達が悲痛な顔で神田に迫る。
「ごめん。そう言う訳だから。迷惑だからこうゆうの止めてくれる?」
無表情で言い放ち、彼女達を気にもせず、
机の上にお弁当をとり出し食べ始めようとする。
「へぇー和樹クン彼女いたんだ。まじショックー」
「もー何言ってるの?美香には健くんいるじゃん♪ラブラブなくせに☆」
「まぁ、そうなんだけどー☆」
健くんと本当仲がいいなー
付き合って2年だっけ?
健くんと言うのは、美香の彼氏。
私達と同じ高校2年生。
学校は違うけど、本当に二人は見ててこっちが恥ずかしくなるぐらいラブラブカップル。
あぁ、美香が羨まし・・・・い!?
ちょっと待ってーーーーー!!!!!!
弁当を見てはっとする!!
神田とお弁当の中身一緒じゃーん!!
何故ならば昨夜、私が作ったお弁当だからだ。
昨夜の事件後、部屋から出たくなかったが、リビングに命の次に大事なスマフォを置いてきてしまったことを思いだし仕方なく、そーっとリビングに続く階段を降りた。
神田も自分の部屋に戻ったらしく、ひんやりとリビングは闇に静まりかえっていた。
テーブルの上にお目当てのスマフォを見つけ部屋に戻ろうとした時、テーブルの端に何か置いてあるのに気が付いた。
ん?何これ?
黒くて少し大きい四角い箱?に、これお弁当箱?
よく見ると男性用のお弁当箱らしきものが、置いてある。
こんなの家にあっけ?
父のは確か、派手なカラフルで恥ずかしい、あくしゅ・・・・さすが芸術家!!的なだし。
あとは、自分の薄ピンクのお弁当箱の2つだけだ。
と、いうことは。
確か昨日、神田が今日お弁当箱買ってくる、みたいなこと言ってたかもー?
多分、これを買って帰る途中に雨に降られたんだ。
この辺コンビニ近くにないしなー。
学校帰り、急に雨に降られてもコンビニが帰り道に無いから、傘も買えなくて困る。
私より早く帰った筈なのに雨に濡れた理由はこれか。
まだ、ここに来て日が浅いし、この辺の地形も解っていないのに。
しかも天気も危うい中、傘も持たずにわざわざお弁当箱を買いに行ったんだ。
じーっと、神田が買ってきたと思われる弁当箱を見る。
たしかに、お弁当作る約束したけどさ
あんなことされたのに、何で私が神田の為にお弁当作らなきゃならんの?!
先ほど起きたことを思いだし、また顔が熱くなる。
指の先で、ぱちっ、っとお弁当箱を弾く。
本当は、あんなことした奴なんかに作りたくはないし、絶妙に許さないけど。
約束しちゃったし、今回だけ。
今回だけ、作ってあげる。
こうして私は、神田と自分の分のお弁当を作ったのだった。
だから、中身は一緒な訳で。
教室の女子達が神田の彼女?が(彼女でわないが、私が)作ったお弁当の中身を興味しんしんで見ようとしてる。
その中に美香と可奈子も。
美香達に神田の弁当の中身を見られる前に、早くここから出なければ!!!
『早く、中庭行こう!いつもの場所なくなっちゃう』
「え?ちょ、ちょっと弥生!?」
美香と可奈子を少し強引に教室か引っ張り出す。
中庭に向かう途中。
「もー、弥生ったら。和樹くんのお弁当の中身見たかったのにー」
美香は余程、神田のお弁当の中身が見たかったのか、ぷぅーと口を膨らませてる。
「神田くんって、彼女いたんだねー。前の学校の子かな?」
『さぁーどうなんだろうね』
そっと触れた唇がじんわりと熱くなった気がした。
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