チョコミント。
2
「オハヨー!弥生♪」
学校の通学路で、友達に声をかけられる。
友達の美香(ミカ)だ。
『おはよ♪』
にっこりと愛想笑顔を作って、軽く手を上げる。
学校についてからも、作り笑顔を振りまく。
そう。
これが「外」での私。
特技は「作り笑い」と言っても過言ではない。
友達の前や家族以外では笑顔を絶やさない。
最も、そんなこと「友達」には言えるはずもないんだけど。
「素顔」の私なんて、見せるだけの相手なんていない。
いないし、作らない。
必要無い。
なんて、「素顔」の私と「外」での私。
どっちが本当の自分なんて、私でさえ分からないでけどね。
机にぼんやりと座っていたら前の席から美香が顔に手を当てながら少し怒っている。
「ちょっと弥生!!人の話し聞いてるの?」
ヤバ!!
今、美香と話してる途中だった。
『ごめん!!聞いてなかった』
手を合わせて慌てて謝る。
「もー弥生たらしょうがないなぁ。だから今日うちらのクラスに転校生がくるんだって。しかも男の子らしいよぉ」
『へぇ〜そうなんだぁ』
余り興味はなかったけど、わざと興味ある振りをする。
「さっき、加奈子達が職員室行ったときに見たらしいんだけど、結構格好良かったらしいよぉ♪私狙っちゃおうかな?」
『たく、美香はまたそんなこと言って…健くんに言いつけちゃうよ?』
お互いに冗談めかしく言い合っていたら、チャイムがなった。
しばらくすると、ガラリと音を立てて教室のドアが開き先生が入ってきた。
「おーい、みんな席に着け。もうすでに知ってる奴も多いと思うが、今日ウチのクラスに転校生が来ている。早速紹介するぞ。神田入って来い」
先生に促されて入って来た。
その転校生を見た瞬間、目が見開く。
なぜなら、ここに居る筈がない「彼」が私の前にいるのだから。
転校生の名前は
神田和樹(カンダカズキ)
その転校生、神田和樹は「彼」義兄「奏(カナデ)」に顔がそっくりなのだ。
しかし奏の筈がない。
奏は5年前に亡くなっているのだから。
しかし神田を良く見ていると奏より神田の方が目つきが鋭く、また雰囲気では奏の方が近寄りやすいのに対して神田は近寄りがたい雰囲気を的っている。
「似ているのに似ていない」
弥生はただ呆然と転校生を見ていた。
不意に神田和樹と目が合い、すぐさま私は目をそらした。
「それじゃ、神田、後ろの空いてる席に座って」担任が神田に言う。
「はい」
神田が席に向かう途中、私の隣を通った時、チラリと私を見て「…弥生」と呟いた気がした。
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