チョコミント。 1日目 ーーーー― ーーー―ーーー。 ピピピピ… ピピピピ… 『……ん』 もそもそと 目覚まし時計を探る。 カチッ。 音と共に目障りだった 目覚まし時計の音が鳴り止む。 時間を見ると、 時刻は7時少し前。 『…んー、あと5分…』なんてお決まりなパターンなんだろう。 我ながら言っといて笑ってしまうところだが、 眠たさには、どうも勝てない。 またしても、もそもそと動く。ゲシ…ッ。 『うん?…』 不意に何かを布団の中で蹴っ飛ばした。 嫌な予感がし、恐る恐る中を見てみるとそこには…−−− 『…なぁにやってんだ。こんの…クソ親父ィィッッ!!』 私はガバッと起き上がり、ベットから蹴り落とした。 ゴトンッ! 鈍い音をたててベットから「それ」は落ちた。 「・・・・ッ!酷いッ弥生ちゃん!うなされてたから一緒に寝てあげたパパに向かてぇ」 ベットから落ちた「それ」は、私の父である。 『うるせぇッ!年頃の娘の部屋で一緒に寝る父親があるかッ!』 低血圧で、頭がボンヤリしてるはずの頭が、すっかり冴えてしまった。 「だってだって弥生ちゃんが・・・」 うるうるした目でこちらを見てくる。 こんなのが父親だなんて、とてつもなく不安だ。 『だってじゃねーよ!さっさと仕事行けッ!!』 「ヤダーッ!まだ弥生ちゃんの温もりに包まれていたいーッ」 私はそれを無視し、無理やり嫌がる父を部屋から追い出した。 私の名前は『秋月弥生(アキヅキ ヤヨイ)』 今年で17歳になる、高校2年生。 まさに思春期真っ盛りな女子高生だ。 日々、「青春」を謳歌していると言いたいところなんだが、実は全然出来ていない。 それに比べ、他の周りの子たちには、彼氏がいて各々と青春しているみたいだ。 もっとも、「青春」とは何なのか知れがたいことだけど、彼氏でも出来たらなぁ・・・ なんて思うのは、もうすっかり諦めかけているけど、『あぁ、「彼氏」彼氏ねぇ・・・』 制服を着替えながら思わず呟くと、勢いよく部屋のドアが開き 「彼氏なんてパパ、絶対反対だからね!!」 『人の着替え中に部屋に入ってくるなー!!』 そう言いながら、枕を開いているドアに投げつける。 「酷いよぉ、弥生ちゃん!パパはそんな子に育てた覚え、な―」 『へぇー・・・』 ゆらり、父親を見る。 (早く仕事行け。) と言う無言のオーラに気付いたのか、父はそくさに「さて、仕事仕事〜」と言いながら逃げていった。 『たっく・・・』 片手で頭を抱える。 頭が痛い。 父のこともあるだろうけど、『…またあの夢…か』事あるごとに見る夢。 多分、昨日の夜に見た 日曜ロードショーのせいだ。 自分のせいで幼なじみが死んだ、と言うストーリーだった。 それを気づかぬ内に重ね合わせたんだろう。 『…あー…らしくないもの見るからなぁ』 軽く伸びをし、着替え終わった制服を整え、少しだけ深呼吸。 『…よしッ』 私の1日が始まる――――。 [*前へ][次へ#] [戻る] |