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恋は曲者、俺は被害者
やっぱり笑顔が一番



「千草君…?」


虎徹が動かない千草に声を掛けると、肩を震わせた千草はそのままの状態で小さな声で話し出した。


「虎徹くん、ごめんね…」

「何が?」

「怪我させて……。写真も…襲われたのだって怖かったでしょ?」

「あっ、あれはあくまで脅しの為に取られたやつだし……それに怪我っていっても擦ったぐらいだから全然平気だしっ」

「倉庫着いた時泣きそうな顔してたよ…?」

「あれは怖かったからというか、千草君見たらなんか気が緩んじゃって……」


かなり落ち込んでいるらしい千草を元気付けようと、虎徹は子供をあやすように優しく背中を叩きながら話す。


「ねぇ、千草君。俺嬉しかったよ?千草君が来てくれて。だからそんな落ち込まないでよ、千草君が悪い事なんて一つもない」


虎徹が背中に置いていた手で青い柔らかい髪を撫でれば、千草はゆっくりと顔を上げた。

千草は今にも泣き出しそうな顔をしていて、その顔があまりに幼いものだから虎徹は思わず頬を緩めた。


「千草君大人だなぁって思ってたんだけど、ちっちゃい子みたいだね」

「え…?」

「こんなに顔をくしゃくしゃにして、変な所で頑固で」


話しながら虎徹は千草の目に溜まった涙を拭う。そんな虎徹の行動にきょとんとしている千草。


「俺は元気だし、千草君は何も悪くない!これで一件落着!……だから泣かないで欲しいな、千草君は笑ってる方が似合ってるよ」

「っ……虎徹くん大好きっ!!」

「わっ、ちょ…!」

「ありがとう」


再び抱き付かれ、あまりに力を入れるものだから痛いなぁと思いながらも、元気になったからいいかと虎徹はしばらく痛いのを我慢することにした。

少し経つと体を離した千草は、今度は虎徹の肩を掴むと真正面で向き合う。


「どうしたの?」

「さっきはカッコ悪いとこ見せちゃってごめんね?」

「いやいや、気にしないで!」


恥ずかしそうに笑う千草はいつもの元気な千草で、虎徹は胸を撫で下ろして同じ様に笑みを浮かべた。

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あきゅろす。
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