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恋は曲者、俺は被害者
とりあえず一件落着です



「うわっ……」


安心したのも束の間、虎徹は暁に後ろに引っ張られると手を縛られて近くのテーブルに括り付けられてしまった。


「痛っ…」

「そこで見ててねー♪板橋ボコッて俺のおもちゃにしてあげる」


不気味な言葉を残すと、暁は笑みを浮かべながら千草と対峙する。


「こないだの借りもあるしー、思いっきりいかせてもらうわ」

「奇遇だなぁ、俺も虎徹くんをおもちゃ扱いするような奴に手加減なんかしねぇよ」


相当頭にきているのか顔つきも口調もいつもの千草のそれとは違う。

それでも虎徹に対してだけはいつもの千草で、暁の後ろの虎徹に視線を合わせると先程と同じ様に笑った。


「ごめん、虎徹くん。俺がいいって言うまで目閉じてて」

「え…?」

「お願い」


理由が解らなかったが、真剣なのが伝わって来たので言われたとおり虎徹は目を閉じた。

「ありがと」と言われた瞬間、鈍い音が倉庫内に響く。忙しない足音と鈍い音が絶え間なく耳に入り、虎徹はさらにぎゅっと目を瞑った。千草が怪我をしていないか心配でならなかったが、約束をした手前目を開けることはしなかった。


しばらく我慢していると、ふいに抱き締められて思わず目を開けてしまった。


「駄目だよ、まだいいって言ってないのに」

「あっ、ごめん!」

「ふふっ、いいよ閉じなくても。俺こそごめん、痛かったでしょ?怖かったでしょ?」


優しく笑いながら虎徹を縛っている縄を解く千草。そんなに長く縛られていたわけではないのに手首には赤い後がくっきり付いていて千草は眉を顰める。


「すぐ手当てしないとね」

「平気だよっ、千草君こそ怪我してない!?」

「全然!」


そう言うと虎徹を抱き上げ、やはり片が付いたらしい紀一達の所へ向かう。途中血だらけで倒れている暁を見つけて虎徹は小さく声をあげた。


「ちっ、千草君……山下さん大丈夫なの…?」

「虎徹くん優しいなぁ…気にしなくていいよ」

「でもっ、何かあったら千草君のせいになっちゃう!」


俺のせいで千草君が悪者になっちゃうのは嫌だ!

そう思って服にしがみついて千草の足を止めようとする虎徹だったが、千草は歩みを止めない。変わりに安心させるように背中をさすってきた。


「平気だよ。手加減はしなかったけど、気絶してるだけだから」

「本当?」

「本当!だから早くこんな所出ようね」


結局足を止めることはなく、そのまま虎徹は千草に抱えられ倉庫を出た。

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あきゅろす。
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