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恋は曲者、俺は被害者
職権乱用は良くないと思います




「あ、最後に仮装レースはダブル伊藤で決定したから。なお拒否権はなし!」

『うそぉ!?』


朝のHRで担任から告げられた内容に虎徹・幸大は驚きの声を、クラスメイトは歓喜の声を上げた。


「なんで俺達なんですか!」

「そうですよ!足だって速くないのに!」


思わず立ち上がった二人は、それぞれ文句を言う。

それも仕方がないことだ。体育祭の大目玉である二年生の仮装レースは、衣装へのこだわりが半端なく、そして男子校であるせいか大半が女装だった。

おまけに障害物と借り物を足したようなレースなのだが、内容がマニアック過ぎるという最大の問題があった。


「だからだよ馬鹿。あれは足の速さ関係ないからな、速い奴出すの勿体ねぇだろ!あと幸大の方はパートナーは烏丸に頼めよ」


因みにこのレースは参加者が一人同軍からパートナーをつける決まりになっている。パートナーは何年生でもいいらしい。

そして教師が積極的なのは勝った軍の生徒だけでなく、教師にも金一封がでるからと専らの噂だ。


「虎徹の方もちゃんと使えるパートナー見つけてこい。分かったな?」


そう言うと担任は文句をいう前に教室から出て行ってしまった。

残された虎徹と幸大はがっくりと肩を落とすと、「ありがとー!」「助かった」など等言ってくるクラスメイトを睨んだ。












「…という訳なんです。紀一さん、パートナー…お願いしていいですか?」

「いいぞ」


昼休み、幸大は早速紀一にレースの話をしていた。
その様子を見ながら虎徹は今更ながらに旅行の時の事を思い出し一人顔を赤くしていた。


って今はそれよりも俺もパートナー見つけないと!!
と言っても一人ぐらいしか心当たりがないけど……。


そう思いながら隣の千草を見る。すぐ視線に気付いた千草は虎徹の方に向き直った。


「なーに?」

「あのさ…千草君、俺のパートナーになってくれない?」

「えっ!虎徹くんも出るの!?」

「ちょっと担任から押し付けられて…」


はあぁと溜め息を吐きながら話すと、千草は「お疲れー」と言いながら虎徹に抱きついた。


「もちろんオッケーだよ!頑張ろうねー」

「本当!?ありがとうっ」


千草君は運動神経も良さそうだし頼りになりそう!など等考えている虎徹に対して、千草は虎徹くんの衣装は何だろうなぁと顔をニヤつかせながら考えていた。

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