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恋は曲者、俺は被害者
結局寝不足です


「ねむ……」


あの後、なんとか布団に入ったはいいが千草に言われた言葉が頭の中をぐるぐると回ってろくに寝ることが出来なかった。


「…風呂入ろう」


どうも頭がすっきりしない。

湯に浸かって気分転換をしようと、隣で寝ている千草を起こさないようにそっと布団から出た。













「はぁー…落ち着く…」


ちょうど空が白けてくる時間に風呂に入るなんて贅沢だなぁと思いながら肩まで湯に浸かる。


千草君は嘘つくような人じゃないから、好きっていうのは本当だ…と思う。

だけど好きになった理由がわからない。

付き合えっていわれる前だって顔を見るぐらいだった。なのに……


『俺、虎徹くんとああいう事したい意味で好きだからね?』


「ぅわああぁぁ……」


あんな事言われて俺どうすればいいんだ!!


また考えが詰まってしまい、バシャバシャと顔を湯で濯ぐと風呂から上がった。












「あ、虎徹くんおはよー」

「ちっ…千草、君…」


部屋に戻ると千草も起きていた。


「お風呂入ってたんだー。俺も朝風呂しようと思って早起きしたんだー」


普段と変わらない様子の千草に一瞬昨日のは夢かと思ったが、体を寄せられて言われた一言にやはり現実だったと思い直す。


「そんな緊張しなくていいよ」

「あ……」

「あんなに毎日好きって言ってたのにやっぱり気付いてなかったんだねー」


そう笑いながら言われて、鈍いというか人の気持ちに疎い自分を恥ずかしいと思った。


「あのっ、俺っ」


何か言わなければと声をあげたはいいが言葉が続かない。

今の虎徹にとって千草は『好き』だが、千草のいう『好き』とは少し違うのだ。

そんな虎徹を見て千草は優しく頭を撫でた。


「虎徹くん、俺すぐに返事がほしいわけじゃないんだ。昨日のは確認だし」

「えっ?確認?」

「そー、確認!俺の気持ち伝わってるかなぁっていう」


実際意味に気付いていなかった虎徹にとっては確認どころではなかったのだけれど。


「今は恋人だけど、違うでしょ?」


そう、今の恋人関係は偽物だ。


「だけどいつかちゃんと告白するから、その時にちゃんと返事ちょーだい!」


それまでに虎徹くんに好きになってもらうから!と言い千草は上機嫌で風呂に向かってしまった。


「え…告白予告…?」


またもや取り残された虎徹は、顔を真っ赤にしてその場に立ち尽くしていた。

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あきゅろす。
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