縁は異なもの、味なもの 秋の恒例 空の席は俺の右隣になった。左に篤、右に空となんだか騒がしくなりそうだ。 「じゃあHR始めるぞ。まず秋恒例の『鬼事』についてだが…」 「なぁー、『おにごと』って何?」 早速空が話しかけてくる。 俺に聞かれても、俺だって高等部からなんだからわからない。 「そのままの意味だと鬼ごっこの事だけど…」 「連里せいかーい!高等部全員参加の鬼ごっこのことだよ。ただここだと鬼が逃げる側だけどね」 取りあえず分かる範囲で答えていると篤も割り込んできた。 しかし声が大きくて小野寺に話しているのが見つかる。 「そこ、うるさい」 「だって『鬼事』がよくわかりません!」 空がそう言うと面倒臭いと言う顔をしながらも小野寺は説明してくれた。 要約すると、高等部全体を半分に分けて鬼になった方は時間内逃げ切れれば、逆に捕まえる方は鬼を捕まえた数が多い上位数人に賞品があるらしい。 鬼が逃げる側というのは珍しいと思ったら、鬼遣らいという昔の行事を真似たんだと篤が教えてくれた。 因みに秋恒例なのは、運動の秋だからだそうだ。 「今年は今週の土曜だ。準備は特にないが…、立花」 「はいっ?」 「範囲は寮を除く高等部の敷地全部だ。迷わないように成瀬に案内してもらえ」 ちょっと待て、小野寺。 なんでそんな面倒臭い事を俺にさせるんだ。 「最初からそのつもりです!」 空もなんでそんな笑顔で答えてるんだよ。篤あたりにやらせようとしてたのに…。 [*前へ][次へ#] [戻る] |