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縁は異なもの、味なもの
二人の夜



風紀の仕事が終わって修二さんと一緒に寮に帰ると、別れ際に泊まりに来ないかと誘われた。実は付き合い始めてから風紀に入ったり試験が始まったり忙しくて先輩の部屋に行ったことすらなかった俺は、誘われたのが嬉しくてすぐ頷いた。

せっかく試験も終わったのだから二人きりで過ごしたいしゆっくり話もしたい、連里の飯も独り占めしたい…そう言われて断る理由はないだろう。


ただ急な話で着替えも何も持っている訳がないから、俺は一旦自室に戻って準備を整えてから行こうかと思っていた。でも修二さんが必要なものは貸してくれると言うので、帰らないで心配を掛けないよう空に連絡を入れてからそのまま一緒に部屋に向かった。






















初めて入った修二さんの部屋の印象は、綺麗だけどちゃんと生活感がある部屋という感じだった。
多分普段はもう少し散らかっているんだろうけど、泊まりに誘うのを決めていたのか最近片付けたんだろうなっていうのが端に重ねて置かれた雑誌類やゴミの全く入っていないゴミ箱なんかから読み取れて何だか微笑ましい。


「連里、なんか俺の部屋に変わったもんでもあんのか?」


そんな風に俺がきょろきょろと見ていると、気になったのか修二さんも俺が見ていた方に視線を向ける。


「いえ、綺麗にしているなと思って」

「そうか?……まぁ、最近掃除したからな。それよりほら着替えだ、少し大きいだろうけど捲れば平気だろ」

「はい。ありがとうございます」


俺の返事に少し照れ臭そうに視線を逸らした修二さんは手にしていた着替えのジャージとハンガーを渡してくれた。
それから着替えるには脱衣所を使えばいいと言われたけど、別にここでもいいかなとリビングで着替え始めたら何故か修二さんが慌てて部屋から出ていってしまった。

俺が着替え終わる頃には修二さんも着替えてリビングに戻ってきたけど、謎の行動だ。


「修二さん、何が食べたいですか?今冷蔵庫を見る限り、結構材料あるんでリクエスト通り作れると思いますけど」

「え!?あ、あぁ………じゃあなぁ、エビマヨってのあるだろ。食べたことねぇんだがうまいって聞いてよ、作れるか?」

「えぇ、作れますよ。他には何かありますか?なければ中華メインで何品か作りますけど」

「連里に任せる。全部うめぇからな、連里の作るもんは」


とりあえず疑問は置いておいて、長めの袖を捲りながらキッチンに入ると早速夕飯のリクエストを聞いてみた。

エビマヨなんてちょっと女の子が好きそうな可愛らしいリクエストは意外だけど、初めて食べるのなら美味しいのを作ってあげたい。それに修二さんに褒められるとつい頬が緩んでしまうだけじゃなくて、料理にも力が入るというものだ。


おまけにどうやら部屋の掃除だけじゃなくて食材や調味料も俺が困らないようにいっぱい用意してくれたみたいで、俺がこの部屋に来るのを楽しみにしてくれていた気がしてすごく嬉しい。
だからそんな先輩の期待に添えるような夕飯にしようと、残りのメニューを考えながら準備に取りかかった。

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