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縁は異なもの、味なもの
*




「…っぁー……」


時計のけたたましい電子音で目を覚ますと、二時間も寝ていない事に気付き思わず溜め息が出た。


昨日の夜から降り出した雨の音が気になって、寝れたのは確か雨が止んだ明け頃だ。おまけに雨の日は決まって夢見が悪い。今日は特に酷くて、嫌な汗が肌を濡らしていた。


これだから雨は嫌なんだ、と思いながら目をこすると布団から出た。













「おはようっ!…ってなんか顔色悪いぞ?」


起きてきた空にこう言われてから篤、花崎、笹光、他のクラスメイトと悉く顔色が悪い事を指摘してくる。

自分の顔色が悪いのは分かっているが、平気だから登校したのに。


しかも小野寺には保健室行きまで命じられてしまい、教室から追い出された。

正直、保健室には行きたくない。誠さんに余計な心配をさせるし、きっと龍治さんにも連絡がいくだろう。

まだ雨のせいで寝られないなんて、恥ずかしいにも程がある。


教室にも戻れないしどうしようかと悩んでいると、いい場所を思いついて俺は歩き出した。













特別棟の四階、生徒会室や風紀室があるそこは人気がなくひっそりしている。

しかし俺の目的はそこではなくて屋上。今日は秋晴れだから雨も乾いているはずだ。それに穂純先輩達の溜まり場であるあそこなら親衛隊も来ないだろうし、ゆっくり出来るだろう。

保健室は行きたくないが、教師から公認のサボリだ。寝不足の分、ゆっくり休ませてもらおう。


そう思いながら屋上への階段まで後少しの所まで来ると、聞き慣れた声に後ろから呼び止められた。


「成瀬?」

「…汀田先輩」


振り向くと予想通り汀田先輩が立っていた。


「お前っ、顔真っ青だぞ!ちょっとこっちこい!」


やはり皆と同じ様に顔色を指摘すると、手を引っ張られて来た道を引き返される。

どこに連れて行かれるのかと思いきや着いたの同じ階の端、風紀室だった。

教室の中に通されてソファに座らされると、額に手を当てられる。


「熱はないのか…」

「ただの寝不足ですよ」

「そんな顔して一人で出歩くなよ。親衛隊が動いてるのは知ってるんだろう」


手を話した先輩は少し怒ったように注意してきた。


「迷惑かけてる俺が言うのも変だが、気をつけろよ」

「…知ってるんですか?自分に親衛隊がいるかもしれないって」

「穂純から聞いたよ」


どうやら穂純先輩達は風紀にも情報を流しているらしい。

確かにその方が都合がいいだろうな。


「悪いな」

「いいですよ。それにまだ未確認ですし」


汀田先輩も穂純先輩の様に謝ってくる。別に先輩達が悪い訳でもないのに。

そう思ったままを言ったらもう一度「悪いな」と言って先輩は笑った。

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