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TRIP
3.

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「きゃあああああ!!」

吸い込まれてしまったセナを助けるために僕は歪んだその穴に入ろうとするとまるでそれは煙のように立ち消えてしまった。


「セ‥ナ‥‥」

僕は地面に手を着いた。
もう、どうすれば良いかわからなかった。


「これは‥‥‥」

マルド町長が声を上げた。


「むむむ、“神隠し”だな。いや、でもまさか」


「“神隠し”とは何なんですか!?セナは‥‥セナはどこに‥‥っ!?」

マルド町長が僕に落ち着くように言ったが落ち着いてなんかいられない。


「王都で最近、行方不明者が多発しているらしいんだが、『空間がねじ曲がったように歪み、それに人が吸い込まれた』という目撃談が相次いで届いた。しかし、その被害は王都のみで今の今まで別の地域の被害は報告されておらず、各地の市長や町長、村長だけに注意だけを促されていた。余計な混乱を起こすからな」


「戻ってこれた人はいるんですか‥‥?」

シーラおばさんが恐々と聞いた。


「‥‥ただのひとりもいない」

絞り出すような声でマルド町長はそう、言った。


「そんな‥‥っ」

周りから抑えるような泣き声が聞こえた。セナを可愛がっていたおばさん達が膝から崩れ落ちていった。


「セナ‥‥」

僕はただ呟くことしか出来なかった。








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