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TRIP
問題発覚 1.

私達が向かっているのは近くにある港らしい。第二大陸に行く定期便があるので、そこからだいたい5日程で第二大陸に着く。
その道程で私はクロと話していた。とは言っても私が一方的に話し掛けているだけだったが返事がこないのがだんだんと虚しくなり今はお互いに無口になっている。
その空気に耐え切れず私は再び口を開いた。


「ねぇ、クロってなんでフレルに行ったことが無いの?」

質問ならば何か答えてくれるはずだとさっき思い浮かんだ疑問を口にした。


「行けなかったから。最近北に行く街道が出来たから」

言葉足らずなクロの説明に再度質問をする。


「街道って無くても行けるんじゃないの?森を突っ切るとか」


「俺のいた公国が大岩で塞がれていたんだ。四方を山脈に囲まれて他に道が無かった‥‥いや、あったが貴族や公爵家公認の行商人で無ければ通れなかった。だけど一週間ぐらい前、大岩が割れて誰もが自由に余所の土地に行けるようになって俺も出て来たんだ」

なんだ、ちゃんと話せるんじゃない。
その事が解り、理由も納得した私は後ろを振り返った。


「じゃあここはそこからそんなに離れてないのね」

前を向き直すと微かに潮の匂いがした。


「この坂の向こうに港がある」

そう言うとまたクロは無口になった。








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