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短編
可哀相な王
「私は塩のように大事に思っています」


 他の娘が宝石や黄金に例える中、王は塩と例えた姫を冷遇するようになった。
 メイドも取り上げられ姫は一人ぼっち。下働きのように扱われた。
 王の意に沿う答えを言った他の娘は宝のように扱われた。

 そんな王を案じていた姫はとうとうある日城を追放された。
 数人の家臣に姫の追放を反対された王はその者達皆の地位を奪った。
 姫の居ない城では他の娘がやりたい放題。残った家臣も娘についてやりたい放題。
 王はほとほと困り果てたがどうしようもない。

 そして王は自分の娘達に城を追われ、遠くの国へと逃げた。
 その先で行われていたのは国を挙げての結婚式のパレード。第一王子の結婚らしい。
 相手はかつて城から追放された姫。
 王は喜んで姫に会いに行く。
 姫は王を拒んだ。
 曰く、“自分を虐待し、挙句追放までした者はもはや父ではない”と。

 せめてもの温情に姫は郊外に王の家を用意した。
 庶民と同じ、城よりも小さな家。
 王はそこで一人嘆く。


「ああ、酷い。私は娘にも恵まれず、家臣にも恵まれず、私の人生は恵まれていないのだ!」





◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

恵まれていたことに気付かない愚かなリアの話。

己の不運を周りのせいにし、自分を省みようともしないそんな人も世の中にはいるのです。


2016.04.17

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あきゅろす。
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