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来客



しん、と静まり返った部屋に一人、の少女がいた。




『兄様……』



今日はまだ、兄様が帰ってこない。

何か…あったの…ーーーーーーーーーー?








《来客》







兄様が帰ってこない。
今からじゃ温室に行っても鳥達はいないし、真っ暗でなにも見えない。




し…んーーーーーー…


そんな事を考えていると時間は少し過ぎていた。
けれど誰も帰ってこない。



一人ぼっち。
独り…ぼっち…
ヒト…リ、ボッチ




コワイ…ーーーーーー


一人は、嫌


『に、さま…』



兄様と呼ぶけれど、それでも誰かが…




コンコン


『……だれ?』


白蓮はビクッと肩を震わせ音の鳴った扉を見た。


ガチャ

「失礼します。白蘭サンから伝言を頼まれたので伝えに来ました。」



来た。

誰かなんてわからないけど来てくれた。


赤…オレンジの髪の色で眼鏡…







『……なまえ…』

「申し遅れました。僕は入江正一です」




聞いたことがある。
兄様に正チャンって言われてる人。
間違いなく敵じゃない…。



「今日は白蘭サンは仕事の関係で帰れないらしいです。だから…」

正一が顔をあげると少女は目を見開いて呆然としていた。


『兄様…帰って、こないの…?』


また、一人…


ヒトリボッチはイヤ…




「それでは失礼しま…っ!!」



ガシッ


『行かないで…』

「え?」

『今は…兄様が帰ってくるまで、一緒に…いて…?』




正一にはこの言葉の意味がわかってしまった。






寂しかったんだ…ーーーーーー

一人でこの部屋にいるのが。



正一の服を握る白蓮の身体は震えていて、ここで断ってしまえば、壊れそうなくらい悲しげな顔をしていた。








(いいよ。側にいてあげる)

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あきゅろす。
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