[携帯モード] [URL送信]
温室



兄様が出て行っちゃって、私は一人部屋の中…
つまらないから、兄様が私の誕生日にくれた温室へ行こうかな…











《温室》




このガラス張りの温室は兄様が私にって造ってくれた温室。

私の宝物――

お花がいろいろと植えてあったり、鳥が飛んできたりもする。

私は、この温室が1番好き…


兄様はいないけれど、友達…もいるし、兄様の好きな花も置いてあるから。




バサバサバサ


『……あ』

そう、お友達…――



[ハクレンこんにちは…]

『こんにちは…』

一匹の鳥がやってきた。
真っ白でふかふかのフクロウ。

少し前に怪我をしてここに倒れてたのを発見して、それで手当をしてやると、いつの間にか定期的に来るようになった。



[ハクレンにオミヤゲです]


そう言って…―いや、そう脳内で告げられてその鳥を見つめる。
口元には薔薇を加えていて手を差し出すとそこに薔薇を落とした。

『……ありがとう…』

[御礼はいりませんよ…貴女がいなければあの時、僕は死んでいたかもしれない。だからこれくらい、当たり前だと思って下さって結構ですよ。]

『……そう……』



私は喋っているけど、この鳥は喋っている訳じゃない。
この鳥はテレパシーで私の脳に言葉を送り込んでくる。

皆、一緒。

だから鳥達とは私しか喋れない。


なんで話せるかとか、
なんで気持ちがわかるかとか、

そんなことは、
そういうのに関しては、
全てなにもかも忘れてしまった。




でも別に知ろうとも思わない。
私には、兄様と、この温室があれば十分だから…――






(他は何もいらない…)

[*前へ][次へ#]

2/5ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!