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六天ニ散リユク花
六天花
「玉林」
 瑛蘭が呼びかけるよりも早く、玉林は振り向いていた。そして、振り向くより前に、玉林は、近づく者の名を断じていた。
 当然だ。
 玉林は、探査の宝貝である。近づく者の気配を読むことなど、玉林にとっては、赤子の手をひねるよりも容易い。まして、瑛蘭は宝貝・六天花のひとつ。彼らはだてに組人形などと呼ばれているわけではない。六体で、一揃え。故、彼らは引き合い、求め合う。互いを欲す。
「瑛蘭」
 玉林は、微かな足音もたてずに歩いてきて、瑛蘭のすぐ側で立ち止まった。人ならば、息の触れあう距離。その距離で、彼は、神妙な面もちで囁く。
「今、清花が、目覚めた」

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あきゅろす。
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