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六天ニ散リユク花
覚醒-玉林-
 桜楼洞の奥深く。
 身の丈ほどもある槍を抱くようにして眠っていた玉林は、胸騒ぎを感じて、目を覚ました。ゆっくりとあたりの気配を探る。
 もたれていた土肌から背を離し、用心深く立ち上がると、彼は、静かな足取りで歩きだした。数歩。音もなく玉林が移動した先にあるのは、巨大な水甕である。満々と、水をたたえる、深淵。
「紫鏡」
 玉林の呼びかけに、水面が揺らいだ。


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