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六天ニ散リユク花
覚醒-梅鈴-
「王創様……ッ!」
 悲壮な叫びをあげて跳ね起きた梅鈴は、胸の奥に疼く感情をもてあまし気味に、頭を振った。もがく指先が、固いものに触れる。見下ろすと、ぐったりと力なくくずおれている可憐な少女が見えた。普通の人間にはありえない角度で折れ曲がった肢体。
 身につけた彩の布も、乱れ、肌蹴ている。
「清花」
 梅鈴は、少女の名を呼んだ。
 はじめは囁くように、次には、大きく。
 それから、叫ぶように。
「清花ッ、起きなさいよ!」
胸にかき抱いて彼女の体を起こす。
その声に、清花という名の少女の睫毛が、ほんの少し、揺れた。


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