半熟騎士の日記帳
第一章 港町・シャロン
シャルロッテ・シュリクは、可愛い娘だった。
二人とも、同い年の彼女とは、教室で机を並べた仲である。
当時、クラスメイトの少年達が抱いていたシャルロッテへの思いは、憧れとか、恋とか、ほとんどがそういう類のもので。
その言葉の悲鳴じみた響きから見て、アシュレイもその中の一人だったのだろう。
バートは、肩をすくめる。
「驚くほどのことじゃないだろ?」
「む……。でも、なんでそんなこと知ってるのさ?」
不思議そうに訊くアシュレイへの返答は、あっさりしたもので。
「マイクが、今でも時々手紙をくれる」
マイク・ソレイル。
二人の初等学校時代のクラスメイトだ。
自分とも仲が良かっただけに、納得がいかない顔で、アシュレイは声をあげた。
「ええっ? なんでバートにだけ?」
その不服に、バートは肩をすくめる。
「……そりゃ、お前が返事をしないからだろ」
「うーん……。そういえば、そうかも……」
「……ったく」
わいわいと言い争う二人に、馬をとめた御者が振り返ってくる。
まだ若いその御者は、苦笑交じりに二人の会話に割り込んできた。
「にしても、お前らは、すっかり変っちまったなぁ」
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