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半熟騎士の日記帳
第一章 建国記念祭
 近衛隊を率いているのは、ウィルフィード・ナギア。
 彼は、騎士団を率いる三人の隊長の中で、唯一の貴族出身者だ。
 パースウィルに負けず劣らずのバランスの取れた体躯に、精悍な横顔。どちらかといえば少年達に人気のある隊長だ。
 栗毛の愛馬に乗せた金銀とりどりの鞍にまたがり、鍛え上げた諸刃の剣を天にかざす。
「おぉっ!」
「やっぱ、かっこいいよなっ、ナギアさんって!」
 憧れに満ちたまなざしを送る少年たち。
 そして、パレードの最後を飾るのは、騎兵隊。
 騎士団三隊の内で、最も市民の生活に関わりの深いのが、各都市に常駐している、彼ら、騎兵隊である。
 指揮しているのは、アレイス・ルォ・ラナフォード。
 建国の立役者、二大騎士の一、ラナフォード家の直系の血を受けながら、騎士団の花形である近衛騎兵隊への誘いを蹴り、自ら騎兵隊への配属を志願したやや変わり者の男である。
 歴代の騎兵隊長が王都付近に居を構えたのとも違い、彼は、南部にある港町・シャロンに落ち着いていた。
 パースウィルやウィルフィードと比べると、顔立ちこそわずかに劣るものの、無骨なたくましさが人々の目を引く。
 誰よりも軽快に馬を操るのが、アレイスだった。
 ひゅぅっ、

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あきゅろす。
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