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半熟騎士の日記帳
第二章 黒き少年騎士
 それでも最初、二人の仲は、周囲にはなかなか受け入れられなかったらしい――。
 常識から外れることを厭う人々は意外と多いものなのだ。
 だからバートは、幼少期を生まれ故郷のアクリアバルで育ったのだが、それでも彼は幼い頃からこの北の大地で騎士として生きるべく教育されてきた。
 それが父の望みであり、そして、義務でもあったからだ。
 ウィムレシア国内で育っていれば、初等学校に入学していたであろう年齢の頃――六つの誕生日を過ぎるころから、バートは、父・レオンの仕事を傍で手伝っていた。
 シャクランの子供にとっては、それが自然なことだったのだ。
 五つ・六つを過ぎた子供たちは、両親の手伝いをし――十にもなれば、外へと働きに出るのが習慣だ。
 そのぶん――学校で学ぶような教養は、祖父の蔵書がいくらでも与えてくれた。
 それでも足りないような、たとえば、ウィムレシアの王国史や王室史などについても、レオンがいつも面白おかしく語り聞かせてくれたから、不自由はなかった。
 もっとも、ウィムレシアの初等学校に通い始めた当初は、さまざまな戸惑いもあったのだけれど。
 ではその彼が、中央広場で行われる一大イベント――騎士団の結団式――へ参加せず、何をしているのかというと。

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