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飛び降りてみたい
「このままとびこんでしまってもいい。そう思わんか?」
「何を言うんですか、仁王くん」
不意に仁王が渓谷を眺めながらいう。日中は温泉地とうこともあって人が多いが今はまだ朝で誰もいない。学校の宿泊研修に来ている二人は仁王の提案で近くにある渓谷に散歩に出かけている。彼曰く泊まっている宿舎は息がつまるらしい。自由奔放に生きている彼はなにを持ってそんなことをいっているかはわからない。しかしついていかない理由もないし、柳生自身もこの渓谷を見てみたいというきもちもあったので彼についていくことにした。
柳生と仁王は何年もテニスでダブルスを組んでおり、互いにわかりあっているつもりではあるが、時々柳生はわからなくなる。例えば今の台詞とか・・・。彼は本当に何を考えているのだろうと不思議に思ってしまうことがある。
「じゃから、このままここから飛び込んで・・・下に落ちたらとても気持ちいいだろうなと思うわけじゃ。」
「確実に死にますよ、こんな石だらけの場所。私があとあと面倒ごとに巻き込まれるのでそれは私のいないところでやってください。止めはしません」
「止めてはくれんのじゃな」
「はい」
二人を沈黙が包む。滝の水の音が妙に響く。
「じゃったら、俺と一緒に飛び込んでくれんか」
仁王が急に口を開く。本当に彼は何をかんがえているんだろう。いきなり一緒に落下の提案か。
「確かにそれも面白いかもしれません。今は春といってもまだまだ寒いから水もとても冷たそうで気持ちよいかもしれません。落ちるということは宙にはなたれるということでしょう。これもとても気持ちよいでしょうね。」
柳生は渓谷のふちに立つ。さくを乗り越えじっと下をみつめる。眼下にはゴツゴツと上流らしい大きな岩や石があり目の前にはちょっとした滝がある。目の前の滝から冷たい水しぶきが彼の頬にかかる。
「いい眺めですよ。仁王君も来てみたらどうです?」
「そうじゃな。今行く」
仁王もさくを越え柳生の隣にたつ。
「本当にいいながめじゃし、水が気持ちいい」
仁王は気持ちよさそうに猫のようにのびをする。
「ここから飛び込んだらすべてを忘れられるくらい気持ちいいのじゃろうか」
「私にはわかりません」
二人はじっと眼下をみつめる。ただただ水と時間が流れる。
「仁王に柳生、ここでなにをやっているんだ」
ききなれた声がする
「真田くん」
「副部長」
二人はほぼ同時に振り向く。同じ部活の仲間がそこにいる。二人と身長はそこまでかわらないとはいえ彼はとてもがっしりした体なのでとても威圧感がある
「こんなところで何をやってるんじゃ」
「それはこっちが聞きたい」
真田は若干呆れ顔だ。
「あ、柳くんと幸村君もおそろいで。お買い物ですか?」
真田の後ろにはやはり同じ部活の二人がいる。
「そうなんだよ。ちょっと歯磨き粉きらしちゃって。どうしても真田が苺味のじゃなきゃ嫌だっていうんだもの。」
ふわふわとした髪の毛の少年は天使のように微笑む。
「なにを言ってるんだ幸村。俺はそんなこといっとらんぞ」
「ごめん、まちがえちゃった。生葉歯磨き粉だよね、歯槽膿漏用の」
「なにを適当なことを言ってるんだ、幸村」
真田は幸村をにらみつける。
「楽しそうですね、二人とも」
「プリっ」
「まあ、こんな二人はほっといて。俺たちはコンビニに買い物に来たんだ。丁度歯磨き粉をきらしてしまってな。もちろん先生には許可はとったぞ。…君たちは仁王の誘いでここに無許可で散歩しにきたんだろう、違うか?」
糸目の青年はにっこりとしてやってやったという顔である
「まああながちまちがっとらんな。」
「いいデータになりました?」
「そうだな。私の予想からあと6分で先生が君たちの部屋に生徒を起こしに来る。そこに君たち二人がいなかったら問題になるだろう。ここから徒歩で宿屋まで10分はかかる。ダッシュでいかないと間に合わないだろう」
仁王と柳生は互いに顔をみあわせ、微笑む。
「それはいけないですね。仁王君急ぎましょう。」
「ピヨっ」
二人はさくを再び乗り越えもとの道にもどり走り出した。

運動部の彼らは走るのが速い。ましてやテニスをやっている彼等は瞬発力も持久力も人より優れている。まるで野をかける野生の馬のように走る、走る。坂道がおおいこの温泉街でも彼等はいつもどうりに走る。
走っている途中また唐突に仁王が口を開く。
「飛び降り未遂じゃな」
柳生の口元が緩む
「またくればいいじゃないですか。いつか本当に飛び降りてみたいですね。ただしもう少し水深が深くてもう少し低いところから。それからできればもっと暑い夏がいいですね。」
「そうじゃな」
二人は朝のさわやかな道をかけぬけていった。






★あとがき★
ここまで読んでくれてありがとうございます。記念すべきsea of dreamの第一作目。こんな駄文でよかったのでしょうか?仕方ないですね一作目ですもんね(開き直り)
本当に最後までよんでくれてありがとうございます。(二回目)ここからぐだぐだトークにします。←
ネタは合宿中に考えました。凝灰岩の観察していたときに思いつきました。すいません、真面目に観察していなくて。本当にいい景色でした。感動してました。凝灰岩よりぶっちゃけ景色のほうが感動しました。(何をしにいったんだ)感銘を受けた私は自然に歩調がゆっくりになっていたのですが、先生には疲れた生徒にみえたようです。(まだ朝早いのに心配された軟弱ものの都会者)先生たちは景色より石のほうに目がいくようです。まだまだ私、修行がたりないですね。(笑)
もともとまるっきりジャッカルで書こうと思っていた話があるのですが、ネタの神様が降りてきたのでこっちが一作目になりました。彼らたちのお話はまた今度書こうと思います。
柳生仁王コンビは好きすぎてだめですね。もうなんていっていいかわからないくらい好きですね。特に眼鏡かけた鬼畜紳士が本当好きすぎますね。もう好きすぎてなんてかいてるのか自分でもよくわかりませんね。
仁王柳生コンビのお話をかきたいと思っていたのでかけてよかったです。そしてまたかきたいです。
ちなみに彼らに恋愛感情はない設定で書き進めていくつもりです。
あくまで清らかな(いやひんまがった?)友情です。
これはすべての作品においていえることです。
内容なんですが気にしたら負けです。ただここからとびこんだら楽しいかなとか思った作者の駄文です。三強を出したのはスピンオフを書こうかと計画していたんですが、苺味からは新しい話できませんね(笑)気が向いたらかきます。
ここまで読んでくれたあなた!本当にありがとうございます。(三回目)夢はかけないし、B○も無理な私が行き着いた場所は妄想文という新境地(?)でした。これからもマイペースに書いていきたいと思います。ありがとうございました。(四回目)


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