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それだけで、


「あー、早く来過ぎたか・・・?こんな時間じゃ皆いないよね」


ふぅと短く嘆息し教室のドアを静かに開けて中に入ったら

・・・

「し、らいし・・・?」



なんと、密かに想いをよせている白石が机に突っ伏しているじゃないか


誰もいない教室に白石と二人きりっていうだけで、なんだかもう心臓が破裂しそうなのに、彼が寝ているというオプションつきで、あたしの頭の中はあれやこれやと色々な考えが浮かんできた



そんな他人からしたら妄想ともとれる想像に無理矢理終止符をうち、とりあえず自分の席に着いてみた
、けど
やっぱり今だ微動だにしない白石の事が気になってしょうがない


そもそも朝練のあるこの時間帯に何で部長である白石が机に突っ伏しているの?っていう話だ


もしかして朝練ないの?って思ったけれど、同じクラスである忍足がいない事からその可能性はない事がわかる



自分の席に座ったものの、そわそわして落ち着いてなんていられず、立ち上がり白石の傍に歩を進めた


「・・・白石?大丈夫??」



かなりの勇気を振り絞って声をかけてみたけれど、やっぱり返事はなくって、かわりに聞こえてくるのは規則正しい寝息・・・

「って寝息?!」


思わず突っ込んじゃったよ

人がせっかく心配してあげたというのに、寝てるだけって・・・。しかも、朝練サボってるよねこの人







「・・・頑張りすぎだよ」



'聖書'だなんて呼ばれるには尋常じゃない位練習をしてきたんだよね

知ってるんだよ?
部活が終った後も辺りが暗くなるまで一人練習しているの
雨の日だってまるで関係のないように
そんな貴方だから二年から部長に選ばれた事
弱さなんてみせないから



「心配してる人だっているんだから。あんまり無理したらダメだよ」


!!
う、動いた・・・
でも、やっぱり寝てるのね




「・・・、白石はもっと人を頼ったってイイのに」




「その、あんまり頼りにならないだろうケド。あたしだっているんだよ?」





朝日を浴びる、その髪があまりに綺麗だから、
少し、少しだけ。って、白石の頭を撫でるように髪に触れた



わっ、サラサラ!



思わず夢中になって頭を撫でていたら、





「・・・えらい積極的やなぁ」


って声と掴まれた頭を撫でていたあたしの右手


ビクゥツ



揺れたのはあたしの肩
思わず右手を引っ込めようとしたけれど、白石に掴まれてたんだ


机に突っ伏していたはずの白石は、その綺麗な顔に妖艶な笑みを浮かべあたしを見ていた・・・
見て・・・

っ///


「!、お、おおおおはようっ?!元気?!て、元気じゃないから寝てたンだよねっ。コレは・・・ただ、ちょっとした出来心っていうのかな・・・??え、あの、やっぱりもう一回寝てもらってもイイかな」



自分で何言って何やってたンだろうって思うと、今の自分も制御出来なくって。恥ずかしすぎるから、最後の方なんて自嘲気味に笑ってた


何してんのよ、一旦落ち着けあたし


白石だってホラ、呆れて何も言わないし・・・
なんかもう、イタいよ自分。絶対、嫌われちゃったよね

あぁ、こんな事になるならコンビニよっていつも通りの時間になるように、皆が教室にいて白石と二人きりだなんて状況にならないようにすればよかった・・・。でも、そうしたら、あたしじゃない誰かが白石の寝顔を見ていたの?
それは嫌だと思ったけれど、あたしにそこまで言う権利なんてなくて・・・、あたしは一体白石のなんなのかと、こんなに一方的すぎる想い通じないの自分が一番知っている




「ご、ゴメンね?あたし、何してたんだろ・・・」


はぁ、どうしたって空回りばかりの気持ちに、手を差し延べてくれた人なんていないから、またこの花は散る


あたしの右手を掴む、包帯の巻かれた白石の左手が弱くなったから、あたしは自分の手を引っ込めた




はずなのに、



「なぁ、なんでそない泣きそうなん?・・・あぁ、アレやな、オレの寝顔見れて感動のしすぎで泣きそうなんやろ」



確かに緩まったのに、より一層強く握られたと思ったら視界が一瞬揺らぐ




鼻孔をくすぐるのは、大好きな彼のにおい



抱き寄せられた身体は徐々に熱をあげる



「・・・そんな事されたら、期待するよ?///」



「オレは苗字が話し掛けてきた時点で期待しとったんやけど。これはオレの勘違いなん?」




「今まで狸寝入りしてきたくせにズルいよね、こういう時だけ」



「好きな子ほどイジメたなんねん。そんで、一日中オレん事考えとったらええ」



囁くように耳元で小さく呟かれて、最後には甘ったるい吐息をおみまいされた







それだけで、貴方に溺れてしまう



(ざ、財前。これはどのタイミングで教室に入ったらええんや?!///) (そんなん何時でもええですやん。てか、部長が忘れ物とかありえへんし。絶対わざとやろ) (へ?わざと?) (ま、白石部長も大概アホっちゅう話でスわ) (??) (やから、オレ等が先輩の話してたの聞いて焦ったんとちゃいます?見せ付けるとか、趣味わる・・・)






* * * * * *


藤崎さま
400hitリクエスト小説

蔵くんの甘夢と言う事でしたが、さて、これは一体甘いのかと言われると・・・(-.-;)
最後の方と無理矢理感がハンパないですから
ホントもう、日々精進です!!



最後の会話の補足でス

光が言ってた先輩はヒロインの事で、謙也くんと光がヒロインの事を話していたのはきっと、部活の時ヒロインが通り過ぎるとそれを無意識の内に目で追う蔵くんを見て、もしかしてって言う話をしていたからです。因みに蔵くんは確信犯(笑



しょうがないから感想書いてやるよと思った度量の広い方はResまで


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