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平穏無事とは程遠い!
ドッキリであれ!




バイトも終わり、今はもうすっかり夜だ。

けれど夜といっても暖かい。夏の夜は風が生温くてちょうど良いなぁ。
日中の暑さは少し苦手だけれど、夏の夜は好き。



いつも通る帰り道の横断歩道で信号待ち中です。
寄りたい所もあるけどどうしよう。などと考えていると遠巻きにせっせと大きな荷物を運ぶ二人組の姿が見えた。

しかも恐ろしい位に見覚えがある二人だ。
そう、つい先日一緒に温泉に行っていた・・・。





『(・・・・・・何運んでんだろ・・・。)』



遠いし、声を掛けるのはやめよう。私の事だ、100の確率で何らかの被害を受けそうだ。あと労働させられそうだ。

声には決して出さず、目だけで、頑張って下さい!と見送っておくことにしよう。



見送り過ぎてしまい一度青になったのに、またもや信号待ちになってしまった。

今日の晩ご飯は家にあったカップ麺にしよう。作ってる時間ないし、コンビニ弁当を一人で食べる姿を想像したら何だか無性に切なくなってしまったし。





まだ青に変わらない信号をぼー・・・っと眺めながら最近の事を思い出す。
何だか最近やたら色んな人と交友関係築いてるっていうか・・・、そうだなぁ。ダラーズに入ってからかなぁ・・・。

それに、狩沢さんや遊馬崎さんの所為だ。あの二人の所為で私はツッコミ役に目覚めてしまったのだ。あの二人を野放しにしてはいけない!と私と同じ事を思っている門田さんがツッコミを入れる、それでもたまに暴走したまま突っ切る時がある。

でもあの二人はあのまま、今のままが一番良いのかも知れない。
だって狩沢さんや遊馬崎さんが急にコロッと性格が間反対になって、私を振り回さない狩沢さんに、私にやたら優しい遊馬崎さん。そんな人になったりなんてした日には、もう引き摺ってでも私は彼らを病院に連れていくだろう・・・。


でも、そんな夢みたいな事がもし本当に起こったら・・・。と思ったけど

『・・・・・・。(怖いから深く考えないようにしよう・・・)』



色々考えていたら信号が青に変わった。

ゆるい音楽と共に生温い夜風に当たりながら、ゆっくりとした足取りで横断歩道を渡る。明日はまた猛暑日になるらしい、寝苦しいかな?なんて日中の事より就寝時の心配が真っ先に出てきたので少し笑えた。何となくもうちょっと歩いてたいな・・・。とか思ったり



少しだけ上機嫌になってきたその時だった。







―キキィーーーッ



不意にすぐ近くの道路側から急ブレーキの音がして、耳がキーンと裂けてしまいそうな気になるそれが夜の街に響いた



慌てて目を向けるもタイミングが良いんだか悪いんだか瞬間、ーどんっ。という鈍い音がした。まるで人を跳ねた様な、そんな音・・・


ーザァァァ・・・っ
と転がってくる物が私の足元で止まる。


え、何これ。人・・・?だよね?

・・・・・・・・・・・・。


じ、実は人形でしたー!ってドッキリ?狩沢さんの考えたドッキリ?そうですよね!狩沢さん!だから人じゃないですよね!?

目の前の予期せぬ出来事に混乱していると、その転がってきた物はゆらり、起き上がろうとしてた



金色の髪にバーテン服、身長も高くて・・・ていうか


ひ、人だったぁぁぁぁ!!!!

今の車に轢かれたのって・・・この人?

あれ?でもじゃあなんで起き上がれるんだろう・・・
おかしい・・・よね、普通



異常な光景に呆然とバーテン服のその人を見ていたら彼の頭、額から顎へ止めどなく血が流れ伝っていた





―私の日常がまた少しずつ、狂い始めていく瞬間








―てぇ・・・、またしくっちまったか・・・っ
・・・て、いうかきゅ・・・、救急車・・・っ!救急車来てぇぇぇ!!
あのノミ虫野郎・・・!今度会ったら絶対殺す!半殺しなんて生温ぃ・・・全殺しで市中引き回しの刑にしてやる!
ヒィっ!なんか物騒な事言ってるよぉ!




あきゅろす。
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