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やった!言ってやった!
心の中でガッツポーズを決める。これであたしの学園生活は事なきを得て元のレールにもど、
「別にええじゃろ、問題なか」
一世一代の大発言にも、やつらは顔色一つ変えなかった。
「え、ちょっ、ここは無難に問題の無い人探した方が、ほらあたしより可愛い子なんて一瞬でみつかるだろうし」
なんて事だ。自分で言ってて虚しさが込み上げてきた。
「そりゃあ、そんなやついくらでも居るだろうけどよ」
ちょっと待て何が言いたいリンゴ野郎。
キッと睨みつけるあたしと素知らぬ顔をするそいつの間に「勘っスけど」と切原が割って入る。
「なんか俺、こいつの方がこじれない気がするんスよね」
あぁもうここでそんな余計なこと言わないでいいから切原!
しかもこいつ呼ばわりてあんたさっき年上は敬えとかなんとか言ってたじゃない!
焦るあたしの横で仁王が浮かべるのは不敵な笑み。
「真田ぐらい欺けんで敵は欺けんぜよ」
敵って何よ…。
思わずあたしは頭を抱え込んだ。
なんなわけ、ちょっと逃げられるかもって期待させといて突き落とすの。
鬼だ。鬼だよこいつら。
「とにかく、もうこいつでいいっスよ」
「こいつでいいってどういうことよ!それぐらいなら解放してよ!あたしだって、あたしだって生きてるんだからぁっ!!」
もう自分でも何言ってんのかわかんない涙まじりの訴え。あぁほら、皆ドン引きしてる。
もうやだ、もうやだ。あたし平凡に生きてたかったのに。イケメンと縁なんか無くていいから波乱の学園生活とは無縁でいたかったのに。
半泣きで鼻をすすってぐずるあたしに、誰かが近づく。
切原…?
「悪い。でもマジであんたが良いから。だから、協力して」
真面目な顔して、でも変に緊張してるみたいな切原。なんか、心なしか顔赤いし。
うわ、やだなんかこっちまで照れるんだけど冗談でしょ。
“あんたが良いから”なんて、そんな台詞友達にだって言われたことないのに。
あの、と声を出そうとしたその瞬間、がしりと両手を掴まれた。
とっさに胸の前まで手を引くが、何故か切原の手まで一緒についてくる。
「な、なになになに」
この衆人環視の中で何する気!?
うろたえて後ずさったあたしに切原はなおもにじり寄る。
ちょっと待って、ほんとに待って!!
「ちょ、ちょっと、手離そうよ。ねえ、あの」
間近に迫った切原がふっと下を見た瞬間、頬にまつ毛の影が落ちた。
鼓動が一気に加速する。
「きっ、きりは…」
もうどこを見ていいかも分からずぎゅっと目を瞑ったが、
予想していたような感触はない。
恐る恐る目を開けると、至近距離に切原の顔。
ひっと思わず小さな悲鳴をあげるが、切原は何でもない顔であっさり手を離した。
「これでいいっスか仁王先輩?」
「は…?」
視線を追って振り返ると、どこから出したのかデジカメをいじくっている仁王の姿が。
「ばっちりじゃ。しかと収めたぜよ」
言って仁王が持っているデジカメの画面をあたしに向けた。
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