novelette
スノードロップ
誕生花:スノードロップ
Snow Drop
花言葉:希望
傾向 :創作オリジ
概容 :無い物ねだり。
サンドイッチを頬張って、ぼくは下界を見下ろした。
ありんこみたいな小さな粒達が忙しそうに動き回っていた。
「ご苦労様」
ぼくはゴミみたいな人々に呟いた。
口の端に付いていたパン屑が口を動かした拍子にぽろぽろ落ちた。
まるで、施しみたいに。
けど、そんなもので下に居る人々の気など引ける訳が無い。
ここは希望の部屋。
高いビルの最上階がぼくの部屋。この国で一番高いビルはぼくの所有物[もの]。
大好きな本がいっぱいあって、召使いが居て、ふかふかのベッドも大きなテレビもある。
金だってたくさんある。
使っても使っても後から後から溢れてくるんじゃないかってくらいたくさん。
だから、ぼくは一切働かなくていい。
ぼくが望むならこの窓枠から一ミリも離れずに全ての欲求が満たされる。
ぼくが望むならこの世界中どこにだって行ける。
一生遊んで暮らすのもぼくの自由。
ぼくはみんなの希望の姿。
ここに居るぼくは、本当に希望に満ちてるだろうか?
…‥end.
すぐ傍に大事なものってあると思う。
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