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FANCY
Re:Re:


僕は走っていた。
息は上がりきって、肺が、心臓が、はち切れそうだと思った。
訳もなく、ただ走った。
今走っているのは近所の河原。
なんで走っているのか分からない。
だけど走らなくてはならない気がしていた。
だから、ずっと全力疾走した。

「はぁっ……はぁっ……」

僕はなぜ走っているのか。
ちらっと振り向く。
嗚呼、何かから逃げているのだ。
"何か"が追いかけてくる。
僕は来るなと叫ぶ。

来るな、来るな、来るな。

なぜこんなに逃げているのか、それが分からない。
なんで来て欲しくないのか――。

「――……ちゃん!!お兄ちゃん!!」

がばっと起き上がった。
ベッドに手をついていた弟が、目を丸くして尻餅をついている。
今まで走っていたような、心臓が煩くて。

「お兄ちゃん、学校。終業式に遅刻してどうするんだって」

嗚呼、そう言えば今日で終わりか。
弟――尊人(タカト)は黙って出ていった。
いや、部屋を仕切る障子は煩かった。



なんでこんな糞暑い中、太陽がグッサリ致命傷を与えそうなグラウンドで校長の糞長い話を聞かねばならないのだ。
聞いている奴なんていないだろうに。
全校生徒が体育館に入れないからってグラウンドってなんなんだ。
僕は悪態を吐きながらダラダラと地に足をつけていた。



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あきゅろす。
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