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FANCY
Forever Song


なぜか、私達は同じクラス。
普通はありえない。
同姓の、しかも名前まで漢字が一緒の生徒を一緒にするなんて。
先生側に不都合があったらしいけど……。

「はよーっす」

彼は人気がある。
彼が来た途端、みんなが群がる。
今日も例外ではなく。
そんななんとなくの風景を見ていると、不意に目が合った。
勿論、彼と。

――共犯。

昨日交わした秘密の約束。

『おはよう』

彼は声を出したわけでなく。
口パクの挨拶。

「ソゥ?誰見てるのぉー?」

周りの女子の1人だ。
私は返事をしないまま、本に目を戻した。
聞かなくても解る。
彼女は彼が好きなのだ。
あの甘えた声がそれを証明する。
本に集中し始めた時。
ポケットが震えた。

――あぁ、ケータイか。

クラスの誰のアドレスも入っていない箱。
入っているのは彼だけになった箱。
教える気だってない。
バイブは止まった。
気付かないフリをすればそこでおしまい。
彼がどういう反応をするかは知らないけど、教室内で見る気はない。
ケータイを放っておいて読書を続ける。
相変わらず彼を中心に騒ぐ教室。
何度か煩いと思ったけど、もう慣れた。
ちらっと彼を見る。


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あきゅろす。
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