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VIOLENCE LOVE
嘘でしょう?



次の日、静雄さんと待ち合わせした駅につくと、すでに静雄さんが手すりに軽く寄りかかり、タバコをふかしていた。

「あ、静雄さん…おはようございます」
「おう、おは…お前…その目の隈どうした?」
「あ…ああ、ちょっと不安なことがあって」

昨日のにーにーの意味深な言葉が頭を離れなくて、全然眠れなかった。
ヘラッと笑って答えるが、静雄さんはぐっと顔をしかめてから私の頬をバチンっと両手で挟んだ。

「いっ…!」
「そんな顔するぐれぇならちゃんと寝ろ!」
「そりゃあ寝たいんですけど…あががが!」

グニュッと両頬を摘まれる。
地味に痛い!地味に痛いよ!

「…不安な事なら相談に乗ってやるからよ」
「…ふぇ?」
「だから…頼むから元気でいてくれよ」
「………?」

何故か静雄さんが今にも泣き出しそうな気がしてしまって、つい、笑ってしまう。

「大丈夫ですよ。静雄さんが私に元気でいて欲しいなら元気でいときます。私、静雄さんのこと大好きですから!」
「…!?…そ、それならいいんだけどよ」

静雄さんは少し赤くなりながら、先に歩き出してしまった。
あれー?今、けっこうアタックしたつもりなのになぁ…
そう思いながら、静雄さんのあとを追いかけると、携帯がなりだした。画面を開くと、にーにーからだった。

「あ」
「ん?どした?」
「にーにーから電話だ」
「…にーにー?」

静雄さんが首を傾げながら問うが、あとで説明しようと思い、早々に電話に出た。

「もしもし?にーにー?」

そう電話に話しかけると、後方から、電話と同じように声がした。


「もしもし?ゆかり?隣にいるのは誰な?まさか…イキガー(彼氏)とか言わないよな?」




沖縄のにーにーへ

今日、ドッペルゲンガーに会いました。
まさかにーにーなわけありませんよね?
だとしたら、泣きたいです。



「にーにーは許さんからな」


「…………はい」



涙目で吐いた言葉は誰でもわかるぐらい震えていた。




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