VIOLENCE LOVE
イイ奴だぞ
ワゴン組の人たちとひとしきり話してから、門田さんって言う人にちょっとした質問をしてみた。
「門田さん、平和島静雄ってしってます?」
「…知ってるも何も、知り合いだぞ俺ら」
「本当ですか!?」
意外な所で静雄さんの知り合いに会えたから、ビックリしてしまい後ろの席から身を乗り出して助手席の門田さんを見るけど「危ねぇぞ」と押し戻されてしまった。
「す、すいませ…その平和島静雄なんですが…」
「アイツには、近寄るな」
「…へ?」
門田さんはいたって真面目に話し始めた。
「いや…決して悪い奴じゃねぇんだ。それどころか真っ直ぐなとこは良い奴だな…だけど…その、なんだ…」
「ああ、やっぱりバケモノなんですね。あの力は私もビックリしましたよ」
「何だ、もう会って―…」
「あー!!!」
門田さんがしゃべっている途中で、ワゴン車の一番後ろの席に座っていた一際濃い二人が声を上げた。
「君!どっかで見たことあると思ったら!」
「週刊誌に載ってた『平和島静雄と互角に闘った謎の少女』でしょ!」
またそれか…
ああ、もう。涙が出てくるよ…
「へぇ…今、気が付いたな。なら平気か」
「何がですか?門田さん?」
少し驚いた様子だった門田さんに疑問を吹きかけると、笑って答えてくれた。
「いや、なら、静雄の奴にも気に入られてるんじゃねぇか?」
「…へ?」
「アイツは根性ある奴とか、素直な奴は好きだからな…」
そう言い放った時に、前方にその人物を発見してしまった…
「あ…」
「お!渡草、ちょっと静雄のとこに止めてくんねぇか?」
「ほいよ」
門田さんがちょうど良かったと言うように渡草さんに声をかけ、静雄さんの隣に車を止めた。
静雄さんはまだ苛立っているらしく、声をかけた門田さんを睨みつけた。
「あ"?」
「よう、静雄…嬢ちゃんここでいいか?静雄と知り合いなら知らない俺らと居るより大丈夫だろ?」
「え、あ、はい。すみません、ありがとうございました!」
「おう、気にすんな」
車から降りる時に、後ろにいた二人には名残惜しそうにされ、前方の二人には「またな」と言われた。
静雄さんの横に立つと、ワゴン車はすぐに去っていった。
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