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VIOLENCE LOVE
悪魔の笑み


まずった。
まさか、ゆかりの方が臨也と会うなんて思わなかった。

静雄は辺りを見渡しながら思った。
だが、臨也の姿は見えずに、また逃したかと舌打ちをしてしまう。

「アイツぜってー許さねぇ…」

あのノミ蟲がゆかりと話しただけでもイライラするのにキスまでしたなんてもってのほかだ。

「いやー…怖いねぇシズちゃんは」
「…んぁ!?」

声をした方に目線を移すと肩をすくめてやれやれと言うように、うざったい姿を現したノミ蟲がいた。

「てめぇ…」
「なーに?ああ、ゆかりちゃん?キスしただけじゃん」
「ぶっころ―…」
「何それ?彼氏のつもり?」

声を荒げた静雄に臨也は冷めた声で尚且つ、笑いながら言った。

「シズちゃんはゆかりちゃんの彼氏じゃないでしょ?」
「あ?」
「なのにさ、俺がキスしたからってそんなに怒って…それにさらにゆかりちゃんにキスまでするって何?きっとビックリしてるよ?ゆかりちゃん」

あ。
そういや、ゆかりの気持ちを考えていなかった。
あの時は頭がいっぱいいっぱいで…ゆかりは…俺にキスされてどうだっただろうか?

「ま、俺の時は喜んで進んでキスしてくれたけどね。ほら、俺カッコいいから」
「あ"?んなわけ…」
「ない。って言いきれるの?」
「……っ」

言葉がつまる。

「そこらへんはゆかりちゃんに聞いたら?じゃあ、俺も暇じゃないんでこれで」

手を上げながら去って行く臨也を。静雄は睨みながら、吠えることしかできなかった。





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