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VIOLENCE LOVE
『キス』


「いーざーやー!!」

不意に後ろから聞き慣れた声がした。
パッと臨也とよばれた情報屋が私から離れると、静雄さんが私を抱き寄せて守るように後ろに隠した。
乱暴なやり方に「痛っ」と小さく言うが、そこまで嫌じゃなかった。

…ふ、ぉおぉぉ…!
静雄さんの顔が、こんな近くにっ!

ああ、まずい。
そう思った時にはやはり静雄さんを異性として意識し始めている証拠だった。

「おい、ゆかり!何か言われなかったか!?ってお前、その首の傷どうした!」
「俺がやっちゃった」

慌てて首を注目する静雄さんに臨也さんが笑ってふざけたように言う。
ちょ、その前に顔近いんですが…!?

「てめぇ…」

ビキビキとこめかみが鳴るような幻聴さえ聞こえた。が、さらに臨也さんは笑ってとんでもないことを言う。

「ちょっとキスもしたけど他にはなーんにもやってないよ」

う、嘘つけー!!!

「キス!?」
「いや、キスなんてされてないから!!」
「お前、あのノミにキスされたのか!?」
「いや、だから!」

そうこうやっている間に臨也さんは「アディオスっ!」と手を振りながらどこかに行ってしまった。

「んなっ!逃げんな!!おい、ゆかり!」
「はいっ!」

ヒィィィ!
そんな怖い顔でこっち見ないでよ!!
や、八つ当たりする気!?

殴られるっ!と思い、ギュッと目を閉じた瞬間。

「……ん?」

唇に何かが当てられた。何事かと目を開ければそこにはまさかの至近距離静雄さん。
スッと離れたそれは短く音を立てて、

「除菌、殺菌、消毒」

と声を出した。素早く振り返り、「いーざーやー!」と走りだした静雄さんの背中を見ながらぼーっと立っていたが、不意に腰が力を抜かし地べたに落ちた。

「な…ななな…!?」

何ーっ!!!!?


あわあわと口を動かしたが、それ以上はあまりに気持ちが紅潮しすぎて言葉が出なかった。





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