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VIOLENCE LOVE
『暴力反対!』



―…数分前。

私は駅を出て初めてではない街並みを見た。
数年前に来た時のように空気は不味く、ビルが空を覆い、人がぶつかりそうになりながら歩く…東京は何も変わっていなかった。
そんな中をゆっくりと歩きながら新しく引っ越すことになったアパートへ向かう。
まっすぐに着くつもりだった。

男の悲鳴を聞くまでは―……


「ひっ!ぎゃああぁあ!」

それは断末魔に近い悲鳴を上げながら、近くの路地裏から飛んで来た。
決して比喩ではない。本当に、

飛んで来たのだ。

そのまま、私の目の前を通り過ぎ、壁に激突した。

「ちょ、大丈夫ですか!?」

性格上、すぐに駆け寄り声を掛けてしまった。

…これがダメだったのだ。

「ひっ!来るな!」
「来るなって…」

飛んで来た男は怯えて後ろに下がる。

一体どうしたんだろう?

そう思った時に、すぐに頭の上から影になった。目の前が少し薄暗くなる。
…あれ?
そう思い後ろを向くと、そいつがグラサンから目をギラつかせ…逆光の中、立っていた。

「…あんたがやったの?」
「黙れ」
「黙れって…理由は知らないけどもういいじゃん!こんなに傷付いているのに!」

壁に追いやられた男はガタガタと震え、縮こまっている。顔には無数の傷。歯は折れ、目は腫れて青くなっていた。
どんな理由があれ、いくらなんでもこれはやりすぎだ。

「…うるせぇ。どけ」
「どかない。イジメはダメ」
「イジメじゃない」
「とにかく、もういいじゃん!暴力反対!」

目の前にいる男に大声で反論する。
内心ビクビクしているんだが、周りを行き交う人々は助けてくれない。
まるで、このバーテンダーの男を避けるように歩いて行く。

「………暴力?」
「そうよ!これは暴力!暴力反対!」

もう一度叫んだ途端…


何かがブチキレる音がした。




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あきゅろす。
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