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VIOLENCE LOVE
『闇医者』



「あぁ、静雄。キズの方は大丈夫なの?」

ガチャっとドアを開けた闇医者は予想外にも優しそうで、おっとりとした印象を受けた。
が、全身白衣で…なんだかアイツに似てる。

「なんか、もう治っちまったみてえだな」
「ふーん。君はもうそろそろ怪物と名乗ってもいいんじゃないか…嘘だよ、だから殴らないで。…で、その後ろの子がゆかりちゃん?」
「あぁ。って、何隠れてるんだ?ゆかり」
「………」

ビクビクとしながら静雄さんの後ろに隠れる。ギュッと静雄さんの背中を握りしめながら白衣を睨んだ。

「…よろしくお願いします」
「静雄、なんか…よろしくされたくないみたいだけど?」
「いいんだよ。注射以外なら大丈夫だとさ」
「注射は大丈夫なんだってば!」
「じゃあ、お薬は粉薬がいいんだとよ」

そういいながら静雄さんはずかずかと相手の家に入っていった。
その憎たらしい背中にずっとくっつきながら白衣の闇医者を警戒する。

「君さぁ…」
「いつものことだろ?」
「………」

ドアをしめ後ろからついてくる奴を睨みつけたまま部屋のソファーに座った。

「で?肝心の傷は?」

棚から色んな医薬品を眺めながら尋ねてくる。
そんなことを言われても、もうほとんど瘡蓋になっている傷をどう治療するのだろうのだろうか?

「治った」

静雄が堂々と答えれば、新羅はため息をつき「だと思ったよ」と、向かい側のソファーに座った。
それから私をじろじろと見てきた。
なんだろうか?

「君があれか、静雄と張り合った謎の―…」
「ばっぺーです!」
(間違いです!)

それに驚いた闇医者だったが、すぐに笑顔になった。

「沖縄の人なんだ?」
「なんだ?お前、沖縄出身なのか?」
「え?一応…なんでわかったんですか?」
「僕も一度、父と一緒に沖縄に行ったことがあるからね」

それにしてもすぐに沖縄出身ってわかった新羅は凄いと思った。


でも、
この時はまだ知らなかった。
この闇医者が私の運命を変えた奴の息子だったなんて。





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