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VIOLENCE LOVE
『二人で歩く』



静雄さんと並んで歩く。
…ムスッとしたまま

「だーから、謝ってんだろ」
「…静雄さん…私のこと嫌いでしょ」

まだ殴られた左頬が痛い。
ぶーぶーと静雄さんに顔を向けると「あ?」って顔をされた。
…怖っ

「少なくとも嫌いじゃねぇから安心しろよ」
「嘘つき」
「嘘じゃねぇよ」

「嘘」「嘘じゃねぇ」を交互に交わしながら歩く。
こんな風に言い合っているが、周りから見ると仲のいい二人にしか見えないだろう。

…一応この人には感謝しなきゃいけないんだけどなあ…なんだか素直にお礼ができない…

チラッと見ると、静雄さんが気づいたようにサングラス越しにしゃべった。

「これから新羅っていう奴のところに行くんだけどな…」
「だけど?」
「相当のキモさだから覚悟しとけ」
「…は?」

さっきの話によると闇医者って感じだったんだけど。

「そんなこと言われたら不安が増すんですけど」
「大丈夫だ。一応いい奴だから」

そう言って口から煙を吐く。

…今度にぃにぃから沖縄のタバコ送って貰おうかな

吸わなくても飾るくらいは出来るからなぁ…
そんなことを意味もなく考える。

「腕は信頼していい」
「私、医者自体だめなんですけど」
「は?」

ポロッと静雄さんがタバコを落とした。
ホントにびっくりしたようだ。

昔にあった出来事が忘れられないぐらいで…情けないな私…

そう思いながら慌てて手を振る。

「いや、その…」

すると、

「ぷっ、はっはははは!お前アレか!注射が怖いタイプかっ」

静雄さんが吹き出した。それも思いっきり笑っている。
私の肩をバンバンと叩きながらひーひーと呼吸をしていた。

「ちょ、ちが…」
「いやいや、恥ずかしがんなよ。ウチの弟も注射苦手なんだ」
「…弟がいるんですかっ!?」

…弟いたんだ?こんなにぃにぃ持つと大変だな

背中を叩かれながら噛み合わない会話を続けて私たちは岸本 新羅のもとへ向かった。

…傷なんてもう治りかけていたが





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あきゅろす。
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