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VIOLENCE LOVE
『どうしてこうなった』



「…で、どうしてこうなった?」

トムさんがやれやれと言うように寿司をほおばる。

私と静雄さんは隣同士に座るがその間には一人分のスペースがあった。
私達の目の前にトムさんが向かい合って座るが、その顔は見れなかった。

「まず、待ち合わせ場所に1時間待ったのに連絡一つしてこない」
「…すいません」
「…申し訳ないっす」

静雄と同時にトムさんに謝る。
露西亜寿司の大将がそれを遠目に見ていた。

「次に、なんで露西亜寿司の大将さんから連絡が来るのか…まあそこら辺はだいたいわかるんだけどな」
「…サイモンさんが」
「いつも通り止めに入ったんすよ」

二人で言葉を紡ぐ。
そしてトムさんは最後にため息を盛大に吐きながら、苦虫を噛み潰したような顔で言った。

「最後に………何でお前らは傷だらけなんだよ?静雄もこの前みたいに傷だらけだし、ゆかりちゃんも女の子とは思えないほどの傷だけど?てか、静雄より酷いべ。それ」
「…静雄さんの傷は私がつけました…すみません」

私はブスッと静雄をチラリと見ながら言うと、静雄もチラリと私を見て

「…ゆかりの傷は俺がつけました…悪かった」

と、言うとそっぽを向いてしまった。
人間らしい行動ではあるが、今はときめかない。

「はぁ…お前ら今日は新羅のとこに行け。仕事は俺一人で大丈夫だから」
「え!でも!」
「トムさん一人に任せるのは申し訳ないっすよ!」
「大丈夫、大丈夫。今日のターゲットは一人だから」
「…ターゲット?」

そう言えば静雄もターゲットが何とかって昨日言っていた気がする。

「ん?取り立てのターゲットのことなんだけど…」
「取り立て…?バーテンダーに何の関係が?」
「あ、忘れてた」
「…おい、まさか……静雄…?」

私とトムさんの異なる疑問に静雄が悪気の無さそうに答えた。

「トムさん、俺、ゆかりに仕事内容教えてないっす」
「………お前…」

トムさんが無気力に机に突っ伏した。

「ゆかり、俺らの仕事は」

静雄が無表情で私に初めて仕事の内容をいった。

「テレクラの取り立てだ」





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あきゅろす。
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