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VIOLENCE LOVE
『お兄さん』



ピーンポン、ピーンポーン。

コンビニの入店音がなる中、真っ先に雑誌をチェックする。
やはり、週刊誌には私たちの話題がのぼっていた。

「……はぁ」

ため息をつく。
マジで、いや、マジで。
勘弁してほしい。
平穏に暮らしたかった私の夢がこの数日間でぶっ壊れた。
すべては平和島静雄のせいだ。でも、なんだか、その人も根っからの悪人じゃないみたいだから…この怒りはどこにぶつければいいのだろうか…?

「あ、羽島幽平…」

自分とは程遠い存在の記事を目にする。
容姿端麗で不思議な性格…まるでどこかの物語から抜け出したような人物だ。それでも兄のことをすごく慕っている家族思いのトップアイドルが目の前の雑誌に載っている。

あれ?誰かに似てない?

今まで思ったことのない違和感があった。が、男の声でそれはかき消された。

「お、また会ったな。ゆかり…だっけ?」
「あ…静雄さん」

静雄は隣まで来ると私の手に取っている雑誌に目を通す。

「へぇ…新しいドラマすんのか…」
「静雄さんも羽島幽平好きなんですか?」
「ん…まあ、な」

ちょっと照れた風に言う。
…まただ…人間らしい…なんだかわからないが、私はこの男は『怪物』だと頭の中で認識していたのかもしれない。
人間らしい表情をすると、「意外だな…」と思ってしまう。

「羽島幽平は演技も上手いし、カッコいいですからね…きっと尊敬するお兄さんもカッコいいんですよ!」

そこまで言うと、静雄は私の頭をど突いた。うん、見事にガコンと鳴りました。

「……っ!?」
「………」

頭を抑えながら静雄を睨むと、頭をかきながら私に背を向けて店内を歩き出した。

「…何か奢ってやるよ」
「……マジすか?」
「いらねえのか?」
「いえ!よろこんで!」


…静雄さん…何だか楽しそう。

そう思いながらちゃっかりカップラーメンを静雄に渡した私だった。





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