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放課後の教室で(静帝)
※学パロ



かったるい授業がすべて終わり、今は帰りのHRの真っ最中


「えー、連絡は特に無し。よし、解散」


担任のその台詞と同時に野球部の奴らが猛ダッシュで教室から出ていくのを横目で見つつ、俺は年下のかわいい恋人を迎えに教室を出ようとした、が


「静雄!」


後ろを振り向くと小学生の時からの仲である、岸谷新羅が立っていた
新羅はカゴを持っており、その中にはフラスコや試験官などの実験用具と思われる物が入っている


「何か用か?」
「調度いいところにいたよ。ちょっと手伝ってほしい事があるんだ!」


なんでも生物部に所属している新羅は担当顧問に今日中に備品整理を終らせるよう頼まれたが一人で終らせるには到底無理らしい
なのでどうしようかと思案していた所に唯一無二の友である静雄が運よく目の前に現れたという事だ
新羅は頼む!とカゴを持ったまま頭をガバッと下げる

ここまで言われて断るとは言えないしな
……帝人と一緒に帰るのは諦めよう


「…分かった」
「ありがとう静雄!じゃ僕はまだ持ってくるものがあるから、これ持って先に化学室に行ってて」


新羅はカゴを静雄に渡し、どっかに走って行ってしまった

とりあえず化学室に行くか

静雄はカゴを軽々と片手で持ちながら、ポケットから携帯を取り出した
そしてアドレス帳から竜ヶ峰帝人の名前を探しだし、通話ボタンを押す
何回かコール音が鳴り響いた後、耳元から帝人の声が流れだした


『もしもし、静雄先輩?』
「おう」
『どうかしましたか?』
「悪ぃ。新羅に頼み事されちまって一緒に帰れねぇんだ。だから先に帰っててくれ」
『…そうですか、分かりました。頼み事、頑張って下さいね』
「おう、気をつけて帰れよ。特にあの糞野郎にはな」
『ふふ、分かってますよ』


静雄は最後にじゃあな、と言って電源ボタンを押す
通話が終わる頃には化学室の前に着いており、扉の鍵は開いていたので中に入り早速備品整理を始めたのだった





「……もう夕方か」


静雄は一人廊下を歩いていた
以外に大変だった備品整理は大変で、全部終わった頃にはもう空がオレンジ色になっていた
新羅は備品整理が終わって早々、静雄に今度何かお礼をするよと言い足早に帰ってしまった多分、今日は同居人の仕事が休みなんだ、と備品整理中ニヤニヤしながら言っていたからさっさ帰ったのだろう


俺も帝人に会いてぇな


そんな事を思いながら廊下を歩いていると、帝人のクラスの教室が見えてきた

そういえば俺らの教室から化学室行くにはここ通るんだよな

通り過ぎようと思ったが、後ろのドアが開いており、窓際で誰かが机に伏せて寝ているのが見えた
こんな放課後まで寝るなんてどんな奴だと思いよく見ると、とても見覚えのある後ろ姿


「帝人?」


静雄は後ろのドアから教室の中に入り、机に伏せている人物に近づく
やはりそこで寝ていたのは帝人だった


帰ったんじゃなかったのか……
もしかして、俺を待ってた?


静雄は顔を少し赤くし、首を二、三回軽く左右に振ったあと手で顔を隠す

自惚れるんじゃねぇ、自分!

少し落ち着いた後、静雄は帝人の寝ている前の席の椅子を静かに引き、座る


「…帝人?」
「………」


帝人からの返答は無く、すやすやと眠っているままだ


寝顔かわいいな…、というかこんなとこで無防備で寝やがって……
襲われたらどうすんだ


帝人の寝顔を見ながら微笑む静雄
しかしそれと同時にいつも無防備な愛しい恋人が心配になる

もっと警戒心持てって言っても、大丈夫とか言うだろうなお前は


静雄は軽く帝人の頬をつつく


「……ん…」


少し反応したものの、起きる気配は無い
静雄は窓の外を見ると先程までオレンジ色だった空は少し紫がかってきていた


寝顔見ててぇけど、このままだったら風邪引いちまうしな
……起こすか


「おい、帝人。起きろ」


静雄は帝人の肩を軽く揺するが、やはり起きない
どうしようかと思っていると、帝人の唇に視線がいく


……これは王道をいけという意味なのか


少し考えた末、静雄はゆっくりと帝人に顔を近付け、唇にキスをする
最初は何にも反応しなかった帝人だが、息苦しくなってきたのか少し身じろぎ始める


「…んぅ…」


呼吸をしようと寝ていながらも帝人は反射的に口を少し開く
その小さな隙間に静雄は舌をねじこみ、深くキスをする


「ん、はっ……っんん!!」


帝人は目を覚ましたが、静雄はそのまま口づけを続けた


「んっ…はっ…ぁ…」
「……帝人」


チュっとリップ音を鳴らして唇を離す
静雄が閉じていた目を開け、帝人を見ると帝人は頬を赤く染め、トロンとした目で静雄を見つめていた


やべぇ、その顔は反則だろ
頑張れ俺の理性...!!!


ぐっと堪えながら静雄は帝人の頭を撫でる


「おはよう帝人」
「……おはようございます……って、えっ!!し、静雄先輩!!?」


何で目の前にという顔をしながら回りをキョロキョロする帝人


「待っててくれてありがとな」
「い、いえ!!僕が勝手に待ってただけですから!!それより僕も寝ちゃっててすみま、せ……」


だんだんと顔が茹でだこのように赤くなっていく帝人
どうやら先程までのキスを思い出しているのだろう


……そういえば学校でキスするのは初めてだったな


自分のした行動を思い出し、静雄も帝人につられ顔を赤くする
帝人は下に視線を静雄は右上に視線を向け、頬をぽりぽりとかきながらも反対の手を帝人の前に差し出した


「?」
「……帰るぞ」
「…はいっ!!」


帝人はその手に自分の手を添え、静雄はその手を握り二人仲良く教室を出ていった





「静雄先輩の手、暖かいですね」
「そうか?」
「はい、ずっと繋いでいたくなります」
「っ!!」
「どうかしました?」
「…い、いや、なんでもねぇ」










初々しい付き合いたての静帝
天然帝人にシズちゃんは毎日が理性との戦いなんだろうな...


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