[携帯モード] [URL送信]

艦これSS
節分の買物に〜大好きを届けたいんです〜
 吐く息が、外気に触れたそばから凍って白い帯のように空へ登っていく。

俺は、久しぶりに、鎮守府の外の空気を吸っている。

遊びに出てきた訳ではないが、とても今日の事を楽しみにしていた。

なぜなら……

「提督、今日も寒いですね」

「榛名は、寒いのか手を繋いでないとだな」

 一人で出てきた訳ではなく、可愛い彼女と節分の買出しに来ているのだ。

「そんな、榛名には勿体無いです……」

そう、顔を赤らめていう彼女はとても可愛かった。


「いらっしゃいませー おー、これまた珍しい」

 鎮守府近くにあるのは、寂れた商店街だ。

車でも出して、都市の方へ行けば大型の商業施設等もある。

 しかし、俺はこの昔から変わらない雰囲気が好きで買物はほとんどここに来ている。

そういうわけで、ここの住人とは仲が良い訳なのだが……

「おい、ありゃぁ誰だよ にぃちゃん?」

「いきなり、店の奥まで拉致らんで下さい……」

店に入った途端、店の奥まで引っ張られてしまった。その途中で、榛名に待っているように手で合図をしたのだが……

「て、提督! だ、大丈夫ですかー!?」

店の方では、榛名が心配そうな声を上げている。

俺は、店の主人を見ながら困った顔をしながら

「おやっさん、連れがいるのにいつもどうりですか」

「まぁ、こまけぇこたぁいいだろ? で誰なんで? あの可愛い彼女は?」

店の主人の興味は、客が何を買うかではなく客が連れてきた可愛い女の子にあるようだ。

「うちの秘書艦兼旗艦ですよ 名前は榛名といいます」

「へぇ 艦娘ってのはべっぴんさんばっかりだなぁ」

そうして、やっと開放してもらえ店の方へ戻る。

「提督、どうしたんですか? いきなり、店の奥に」

「あー、知り合いだから気にしないでくれ こういう人なんだ」

心配してくれている彼女にそういって、主人に店に頼んでおいた物が来ているか尋ねる。

「あー、すまねぇ 着くのは今日の午後の便らしいんだ また、夕方頃きてくれ」

ということのようだ。仕方が無いので、夕方まで時間を潰すことにした。
 そうして、商店街の中程にある公園を通りかかった時に榛名が声を上げた。

「あれ? あれは……」

公園のベンチに座っている、マフラーを巻いたたしか瑞鳳という軽空母艦娘がいた。

「あっ 榛名さん」

あちらも、こちらに気付いてパタパタと小走りに近づいてくる。

「瑞鳳さん、今日は可愛い服を着ていますね! デートですか?」

 そう榛名が問い掛けると、頬を赤らめながら頷いて応える。

「はい! 今日は、提督の誕生日なので……」

 ちなみに、言っておくが彼女の言っている提督は俺じゃなく彼女の艦隊の提督だ。

「そうなんですか。楽しい日になるといいですね」

 榛名が、にこにこしながら瑞鳳に言うと彼女も微笑みながら

「はい! 鎮守府に戻ってからも卵焼きをつくって上げる予定なんです」

そういって幸せそうに、笑っていた。
その後、節分の道具(お面やら豆)を先ほどの店で受け取り鎮守府へ帰る道すがら榛名に問い掛ける。

「そういえば、榛名は誕生日何してくれるのかね?」

「え? 榛名は何でもしますよ? 提督の望む事だったら……」

軽いきもちできいたつもりだったが、真面目に答えられてしまいちょっと動揺してしまった。

「瑞鳳さん、とても幸せそうでした……」

「あぁ、そうだな。 あの提督がとても羨ましいな」

あのあと、瑞鳳の艦隊の提督が来て瑞鳳はとても幸せそうな顔をして提督の誕生日を祝うのだと言っていた。

「提督、今年は榛名も提督の誕生日を祝います」

「ははは、楽しみにしてるよ」

そういいながら、鎮守府に帰った。

瑞鳳の声が耳に残っている。


  誕生日、おめでとうございます!

   今日は、私に任せて下さい!

   あなたに大好きを届けたいんです
                   」

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!