おもいびと
◇蓮の棘8
パジャマのズボンだけを身に着けてリビングに戻ると。
海斗は相変らずで。
テレビもつけずに、問題集を片手に静かな時間を過ごしていた。
「――ちゃんと着ろよ。風邪ひくぞ」
おれが出てきた事に気付いた海斗は、すぐにソファーから立ち上がっておれの傍にやってきた。
おれが抱えていたバスタオルと制服を取り上げて。
制服をソファーの肘掛けに置いてから、バスタオルでおれの髪を拭いてくれる。
目の前に、海斗の喉元が見えた。
毛穴の目立たない、女子からも羨まれそうな艶のある綺麗な肌。
Vネックのカットソーからのぞく鎖骨のラインがヤバい。
おれは思わず海斗に手を伸ばして、その肌に吸い付くようなキスで触れた。
海斗は不意を突かれたように。
ビクンと身体を一瞬強張らせてから、動かなくなってしまった。
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