おもいびと ◇穢れなきもの5 「中学生になったんだから、何か部活始めなきゃね」 と、小学校の時と代わり映えしない同級生たちが色めき立つ。 背伸びして。 十代の青春って言う言葉に酔って。 部活とか。 異性とか。 セックスとかに興味深々で。 大人みたいな三年女子を遠巻きに眺めては、ランニングで揺れる大きな胸に興奮したり。 「すげえ」 「ゆっさゆっさゆっさゆっさ」 「あれ……触ったら気持ちいいのかな」 「硬えの?柔らかいの?」 「中間のムッチリだな」 「ムッチリ!?」 ひとりが興奮しすぎて鼻血を出した。 周りの連中がギャハギャハと下品に笑う。 女子たちは体育の着替えで教室にいないからいいけど。 中学生って。 なんか、嫌だな。 皆、どうして自分の醜さに気づかないんだろう。 海斗はそんなこと全然なかったのに。 周りが醜くても。 海斗だけは、綺麗なままなんだ。 [*前へ][次へ#] [戻る] |