おもいびと ◆イノセント2 ドアを開けると、おれが点けた廊下の灯りだけが差し込む暗い室内に。 壁に背中を預けて両脚を投げ出して、泣きながら放心している弟がいた。 下着がズボンと一緒に膝まで下げられていて、幼い性器が男の象徴である事を誇示するかのように首をもたげている。 赤く腫れ上がったように勃起しているそれが痛々しい。 すぐに傍に駆け寄って理由を尋ねると。 仲のいい友達が、気持ちいい事を教えてやる……と。 どうやら途中で泣き出した弟を持て余して、友達は逃げ出したらしい。 すれ違ったあのガキの仕業か……と、状況が飲み込めて、中途半端で放置された弟に同情した。 弟は、身体の準備は出来ていたとしても、肝心の快感の掴み方をまだ知らなかった。 どうしていいか分からないで身動きひとつ取れないまま、興奮した状態で未知の感覚に当惑していた。 おれは、虚脱したような力無い腕を引っ張り上げて。 情けない有り様が痛々しい弟を、自分の部屋に連れ込んだ。 [*前へ][次へ#] [戻る] |