おもいびと
◇蓮の棘13
「おれを愛しているなら抱いて」
おれは、身動き一つ出来ないでいる海斗に抱きついた。
緊張して突っ立ったままで、海斗は何も応えてくれない
「海斗」
問いかけても、乱れる感情を隠すのが精いっぱいで。
呼吸を乱して、肋んなかで心臓バクバク云わせて。
それなのに、なんで何もしないんだよ!?
こんなに寂しいって言ってんのに。
こんなに捨て身で縋ってんのに。
なんで。
こんな時でさえ、冷静なふりなんて出来るんだよ!?
「海斗……」
痺れを切らしたおれは。
両手で海斗の顔を包んで。
無理やり唇を寄せて。
強引にキスをした。
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