おもいびと
◇蓮の棘2
受験に専念したいからなんて,嘘に決まってる。
もう三か月も家に帰らないのに。
一度も帰ってないのに。
親が心配しないなんておかしい。
海斗は、親公認で家を出た。
家族から遠ざかるために。
おれから離れるために。
それは。
たとえ海斗が望んだにせよ。
親が、おれと海斗を引き離すために、善しとした事だと考えていいのだろう。
おれたちの関係は、親に知られていたに違いない。
海斗は、その事実をおれに隠していた。
ひとりですべてを背負って。
おれに心配をかけまいとして。
あんなにやさしく,おれを包容してくれていたんだ。
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