おもいびと ◆うつろい7 誕生日。 柊司さんは約束通り、おれを食事に連れ出してくれた。 予備校と学校以外の外出なんて、実は柊司さんの家に来てから初めてで。 おれは久しぶりに街に出て気分が開放的になっていた。 もちろん、二人きりなんて許されるはずもなくて。 百瀬さんがしっかり番犬の役割を果たしに来ていた。 理屈に合わないんだけどな。 おれたちは同居しているわけだから、外出の方がハードル低いんじゃないのか?……と、柊司さんに尋ねたら、意外な言葉が返ってきた。 『デート』が許せないんだそうだ。 おれが恋人然として他人の目に映るのが我慢できないとの事で。 百瀬さん。 相当病んでる。 野郎ふたりなんて、誰も恋人同士だなんて思わねえよ。 あんたと柊司さんだって。 誰も恋人同士だなんて思わねえ。 そういう反倫理的な関係なんだってこと。 自覚しろよ。 おれの場合。 ひとの事をとやかく言える立場じゃないけどな。 [*前へ][次へ#] [戻る] |