おもいびと ◆うつろい1 あれから、静かに時は過ぎた。 学校で会う陸は、おれが言った通りおれとの距離を保っている。 時々泣き出してしまいそうな顔を見せるから。 おれは責められているようで辛い。 辛いのは陸も同じだって事は分かっている。 分かっているんだ。 それなのに、おれは何もしてやれない。 なんの力もない。 おれは、まだガキで。 現実は、冷酷で厳しくて。 おれは、逃げる事しか出来なかった。 今は、そうすることが最善策なのだと、信じるしかない。 季節は おれの心情とともに、枯れ果てて 初秋を迎えていた [次へ#] [戻る] |